読書感想文やSNSで「刺さる文章」が書けるように!? 人気ブロガーが"書くための思考"を大公開

書けないんじゃない、考えてないだけ。
『書けないんじゃない、考えてないだけ。』
かんそう
サンマーク出版
1,650円(税込)
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 生きていると意外と多い「文章を書く」という行為。夏休みの読書感想文やSNSでの近況報告、友人へのメッセージ、プレゼン資料の作成など、みなさんもさまざまな場面で文章を書いてきたかと思います。こんなにも書く経験値を積んでいる私たちですが、人の心を掴む文章を書ける人は一握り。いったい何が違うのでしょうか。

「noteの人気エッセイストや、SNSでバズを量産するエモ文章を書いている人ほど、頭の中で死ぬほど考えてから書いて、推敲して、どの時間帯に投稿すれば読まれるかまで計算していることでしょう。
あたかも『いやなんも考えてないですけど人気出ちゃって......』とセンスで書いているように見せる能力が高いだけで、誰しもが『書けない......死のうかな』と悩み、枕を濡らす夜はあるのです」

 とは、書籍『書けないんじゃない、考えてないだけ。』に記された言葉です。著者は、はてなブログにて個人ブログ「kansou」を運営し、月間PV最高240万アクセス、累計PV5000万アクセス、読者登録数は全はてなブログ内6位の多さを誇るブロガー「かんそう」さん。その名の通り音楽や映画などの「感想」を豊かな表現力で綴り人気を博す人物です。「人生初の飛行機ファーストクラスで天国と地獄を見た」や「死ぬほどサウナ入ってるのに一回も整ったことないしむしろ乱れてる」などの記事はX(旧Twitter)でも大反響だったので、知っている人も多いかもしれません。

 同書では、そんなかんそうさんが、文章を書くときにどんなことを考え、何を意識しているのかを余すことなく公開しています。例えば、先述した「死ぬほどサウナ入ってるのに一回も整ったことないしむしろ乱れてる」では、以下のような点を意識したと記します。

「読まれる文章を書くために欠かせない要素が『あるある』と『固有名詞』です。
100人全員が『うんうんわかる』と白目を剥く『広いあるある』と、『こんなのわかるの俺しかいない』とヨダレを垂らす『狭い固有名詞』。これらを上手く使い分けることで殺傷能力の高い『刺す文章』になります」(同書より)

 「死ぬほどサウナ~」のブログ内容は、かんそうさんのサイトや同書を読んで確かめていただきたいのでここでは割愛しますが、使われていた「あるある」は「『整う』を強要されてストレスが溜まること」、そして「狭い固有名詞」は「宮城リョータ(漫画『SLAM DUNK』のキャラクター)」や「杉下右京(ドラマ『相棒』の主人公)」など、作品を知らない人には分からないような例えが登場することでした。

 この「狭い固有名詞」は「もし読者が知らなかったら伝わらないかもしれない......」と使うのを避けがちですが、あえて使用することで文章の魅力がアップするのだとかんそうさん。

「人間には自分と近い嗜好(思考)を持つ人間に惹かれる『類似説(resemblance theory)』という習性があります。これは文章も同じ。『お前は俺か』と思ってしまう文章に魅力を感じるのです」(同書より)

 他にも、文章を書く前の思考や、文章を書くときに意識したい点などが惜しみなく記されている同書。「自分の中に『イマジナリー秋元康』を飼え」や「摑みは読者の息の根を止めるつもりで」、「『真の推敲』とは脳汁が出る文章にすること」など、目次を見るだけでも心惹かれる文章がずらりと並びます。「文章の書き方を学ぶぞ!」と肩ひじ張らずに面白く読み進められるのもうれしいポイントです。

 あなたがどんな文章を書きたいかによって、参考にする部分は異なるものの、同書を読むと「文章を書く」という行為への向き合い方が変化し、物事を多角的に見る視点を養えるでしょう。笑ってしまうようなユーモアたっぷりの同書は、きっと文章を書いたり読んだりすることに興味がある人の心を揺さぶるはず。この機会に人の心を掴む文章を書く人の頭の中を少しのぞいてみてはいかがでしょうか。

[文・春夏冬つかさ]

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