「お金持ちになるのにちょうどいい年齢は50歳過ぎ」その理由は? 希代の起業家が語る"お金にまつわる小さな秘密"
- 『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』
- キム・スンホ,吉川 南
- サンマーク出版
- 1,980円(税込)
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お金持ちになりたいですか? そう訊かれればたいていの人は「はい」と答えます。大金を稼いでFIRE(経済的自立・早期退職)して悠々自適に暮らしたい! そう考える人も多いでしょう。かくいう私もできることならそうしたいと願ううちの一人です。
しかし「早くお金持ちになりたいなら、早くお金持ちになろうとしてはいけない」と忠告する人物がいます。それは韓国人として初めてアメリカの外食産業で大成功した希代の起業家キム・スンホさん。先ほどの忠告は著書『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』に書かれた言葉です。
同書はネットで拡散されて1000万回以上視聴された「伝説のお金の授業」を書籍化したもの。キム・スンホさんが創業したスノーフォックス社は世界11カ国に3900の店舗と1万人の従業員を抱えるグローバル企業です。想像もつかないほどのお金持ちですね。
そんなキム・スンホさんが「早くお金持ちになろうとしてはいけない」と言うのはなぜなのでしょうか。同書には以下のように書かれています。
「お金持ちになるのにちょうどいい年齢は50歳過ぎだ。
若いうちは富を扱う技術が低く、投資や事業による利益に目を奪われがちだ。そのため手持ちの資産額に比べ、貯める力が弱い。だから、資産を失ってしまう可能性が高い(中略)
早くお金持ちになろうとせず、まず元手資金を作り、複利と投資を学び、経済用語を勉強して金融オンチを克服すべきだ」(同書より)
キム・スンホさんは同書で、財を成すのに投資がいかに重要かを何度も説いています。しかし日本人の多くは投資に対して尻込みしてしまいがち。もちろんリスクがあることなので、その感覚は間違っていないのでしょうが、それならばしっかり勉強しましょうというのがキム・スンホさんの教えのようです。
「字を知らない人は聖職者が読んでくれる聖書の解釈と教えに従うしかなかった。聖書が読めないため、神と直接交流する方法がわからなかったからだ。
このように、字を知らないと悲しく貧しい人生を送ることにもなる(中略)
金融オンチも、文字やコンピューターを知らない人たちと同レベルだ。金融の知識は生存に直結する問題だからだ」(同書より)
ところが金融や経済については誰も教えてくれません。「義務教育でお金について教えてくれればいいのに!」なんて声を聞くこともありますが、世の中はそんなに甘くないようです。
「理由は簡単だ。わざわざ教える必要がないからだ。むかし、奴隷や奴婢(ぬひ)に文字を教えなかったのと同じだ。文字を学べば思考が深まり、記憶も整理できるし、文書が読める。統治者にとっては、大衆が文字を学ぶことは面白いはずがない」(同書より)
金融や経済はみずからすすんで学ぶしかありません。金融関係の詐欺も多いためハードルが高く感じるかもしれませんが、キム・スンホさんは「まずは用語から学んで理解しよう。すべての人が金融用語を理解すれば、政治家も国民を無視することはできず、不届きな事業家がのさばることも減る」(同書より)とアドバイスを送ります。
このように、同書ではキム・スンホさんが「お金についての小さな秘密」や「お金の持つ5つの属性」、「お金持ちになるための4つの能力」などを分かりやすく解説。読むとお金への理解が少しずつ深まっていくのを感じます。お金のことで漠然とした不安がある人、投資を学ぶ前にもう少しお金に関する知識を深めたい人、そもそもお金持ちが何を考えているのか興味がある人など、お金について知りたいなら読んでみて損はない一冊です。
[文・春夏冬つかさ]