第78回 コスプレでもっと映画を理解する!? 形から入ることの重要性とは?
- 2020年3月公開の映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』より
今年のハロウィンは、映画「ジョーカー」に扮する人が多かったそうです。
映画も社会現象と言えるぐらいの大ヒットなので、この人気もうなずけますね。
しかしこのジョーカー、コスプレーヤーの方に言わせるとけっこう難しいメイクらしい。うまく再現したつもりでも志村けんさんのバカ殿に似てしまう。
あのジョーカーのメイクは、演じているホアキン・フェニックスの顔形とかほうれい線とかもちゃんと計算してすご味とか美しさがでるようになっているようです。
コスプレはそのキャラを真似ることですから、自分がその存在になろうとチャレンジすることで、改めてヒーローなりヴィランなりの魅力に気づくということもあるかもしれません。
僕はティム・バートンの「バットマン」の格好をしたことがありますが、その時分かったのは、あの映画のバットマンのコスチュームを着ていたら、実際には戦えないということ(笑)
要は首を動かすことが出来なくて、後ろから敵に襲われたらひとたまりもないんです。
けれど写真とかに撮るとものすごくかっこよく写る。つまり"絵になる"んです。
だからティム・バートンは、アクションのリアリティよりも映像になった時にいかに美しいシルエットになるかという方に重きを置いたのです。
実際、ティム・バートンの「バットマン」はイメージとか雰囲気は素晴らしいんですが、アクションですげー!って言わせる映画ではなかったから。彼の作家性がこういうところからもわかりますね。
一方、ヒーローに扮するとヒーローの気持ちというのもわかってきます。アメリカでは、スーパーマンの仮装をしていた男性が火事を知らせ、子ども四人のいる家族が助かりました。本物のスーパーマンだ、というニュースになっていました。
日本でもある"こども食堂"(子ども支援の一環として地域住民や自治体が主体となり、無料または低価格帯で子どもたちに食事を提供するコミュニティの場およびその活動)で、そこで育ち社会人となったOBがハロウィンの日、バットマンの格好をして子どもたちに食事をサーブしたそうです。バットマンになることで、その人の持つ"ヒーロー面"がさらに拡張されたのかもしれません。
さてハロウィンは終わってしまいましたが11月の22日(金)・23日(土)・24日(日)に幕張メッセで東京コミコンが開催されます。
このイベントは海外のビッグスターに会えることが目玉で、今回もクリス(マイティ・ソー)ヘムズワース、ジュード(ダンブルドア)ロウ、オーランド(レゴラス)ブルーム、マーク(ハルク)ラファロ、ザッカリー(シャザム)リーヴァイ、ルパート(ロン)グリント、イアン(デイモン・サルバトーレ)サマーホルダーが参加します!
そして東京コミコンの名物が、アメコミ、スター・ウォーズ、ハリー・ポッターと海外キャラをテーマにしたコスプレ・イベントです。アベンジャーズ、ジェダイの騎士、ホグワーツ魔法学校の生徒、ジョーカーが会場内を席巻するでしょう。
特に今年はコスプレーヤーに人気の高いハーレイ・クイン(DCコミックに登場するバットマンのヴィランで、おしゃれだけどサイコな美女。ジョーカーを愛している!)を主役にした映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』が来年公開されるのを記念し、"彼女しばり"のコスプレ・コンテストも開催予定なので盛り上がるでしょう。
(詳しくは東京コミコンのホームページhttps://tokyocomiccon.jp/cosplayをご覧ください)
というわけでコスプレはしっかり根付いてきました。先日バットマン80周年のイベントで来日したアメコミ界のレジェンド、ジム・リー氏も「映画からアメコミに入る人も多いけれど、コスプレというのもアメコミ文化を知る入り口だと思う。そのキャラのことを知らなくても、なんかかっこいい、自分でもその恰好をしてみよう、というのはいいきっかけになります」と言っていました。
ある文化を理解する上で "形から入る"ことはとても大事なのです。
(文/杉山すぴ豊)
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
2020年3月22日(金)ロードショー
http://wwws.warnerbros.co.jp/harleyquinn-movie/