第76回 この秋、妖怪好きと幽霊好きにおすすめしたい2作!
映画『アナベル:死霊博物館』より(9/20金公開)
アメコミではない話題から始めますが。あの円谷プロさんが「かいじゅうのすみか」というプロジェクトを始めるそうです。怪獣や宇宙人たちをヒーローと敵対する存在ではなく、彼らを主役にすえて、彼らがすんでいる世界をのぞいてみよう、という切り口のコンテンツだそうです。
まず絵本が出て、11月にはこの世界を体感できるアトラクション・イベントも開催されます。怪獣たちのテリトリーに足を踏み入れる、というのはちょっとわくわくしますね。
やはり "日常とは違う別世界に釣れってくれる"というのはエンタテインメントの醍醐味です。さてこの秋は皆さんをちょっと怖いけれどワクワクする世界に連れてってくれる2作が公開されます。まずは妖怪との出会い。
年明けの『アクアマン』から始まり夏休みの『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』まで疾風怒涛のアメコミ・ヒーロー映画ラッシュでしたが、この秋がんばってくれるアメコミ・ヒーローが『ヘルボーイ』。マーベルやDCではなく、ダークホースというコミック出版社からリリースされたヒーローを映画化したものです。
ヘルボーイ=地獄の小僧の名からわかるとおり、魔界の王子(悪魔の赤ん坊)が人間に育てられ、妖怪たちから人間を守る特務機関:超常現象調査防衛局(B.R.P.D)のエージェントとして戦うというもの。主人公が"角が折れた赤鬼"みたいな愛嬌のあるデザインのキャラで独特のムードと世界観があり人気があります。過去に二度ほど、『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞をとったギレルモ・デル・トロ監督によって映画化されていますが、今回はスタッフ、キャストを一新してのリブート。
今回、ヘルボーイを演じるのはデヴィッド・ハーバー。「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のホッパー署長役で人気があります。敵対する血の女王を我らがミラ・ジョヴォヴィッチさまが妖艶に演じています。あえていうなら、デル・トロ監督版が「ゲゲゲの鬼太郎」×ポリス・アクションだったのに対し、今度の『ヘルボーイ』は「デビルマン」×ポリス・アクション。R指定で妖怪たちの人間の襲いっぷりやヘルボーイのアクションもバイオレンス度UPしています。
もう一つはアメコミ映画ではないですが『アクアマン』のジェームズ・ワン監督が仕掛人となって始まったホラー映画の大ヒット・シリーズ=「死霊館」シリーズの最新作『アナベル:死霊博物館』も公開されます。"「死霊館」シリーズ"は本作を含め計7本作られていますが、今までの作品を観ていなくても十分楽しめる(怖がれる)作品です。
本作はあるオカルト研究家の夫妻が自宅の地下室に造った<死霊博物館>が舞台。この夫妻は、いわゆる"呪いの品"を預かり、魔力を封印してここに保管しているわけです。いくらなんでも自宅にそれを作らなくていいと思うのですが(笑)、ここに保管されていたアナベルちゃん人形が、ある出来事をきっかけに"覚醒"。それによって死霊博物館にあるすべてのアイテムが動き出す、というもの。
ホラー版ナイト・ミュージアムを目指したというだけあって、かわいい女の子たちに次から次へと悪霊たちが襲いかかります。ただこの映画はすごく怖がらせてくれるんですけれど、目をそむけるような残虐なシーンはなく、「怖かったけど面白かった」と言えるエンタテインメントです。この秋妖怪がお好きな方なら『ヘルボーイ』、幽霊がお好き方なら『アナベル:死霊博物館』で、彼らの"テリトリー"に足を踏み入れてみてください。
(文/杉山すぴ豊)
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