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杉山すぴ豊の、アメキャラ映画パラダイス

第6回 日本人が作れなかった"日本映画"!? Kaijuはついに、世界語になるか? ギレルモ・デル・トロが仕掛ける『パシフィック・リム』ついに始動!

2013年夏公開予定の、映画『パシフィック・リム』に登場する戦闘スーツ。2012年サンディエゴ・コミコン会場にて筆者撮影。
2013年夏公開予定の、映画『パシフィック・リム』に登場する戦闘スーツ。2012年サンディエゴ・コミコン会場にて筆者撮影。

全米では、12月はクリスマス・シーズンなので、サマームービー・シーズンと並んで、ハリウッドが超大作を続々と公開。多くの観客が劇場に駆けつけるので、2013年に公開される超大作の映画の予告篇も、彼らを狙ってこのタイミングで次々とリリース。最近では、劇場での解禁にあわせ、ネットで同時に公開というパターンが普通なので、僕らも日本にいながら、最新の予告篇を楽しむことができます。当然、その予告篇をネタにしながら、ネットで盛り上がるわけですね。

今回、アメキャラ・ギーク(オタク)的には、新スーパーマン映画『マン オブ スティール』をはじめ『スター・トレック イントゥ ダークネス』、『G.I.ジョー バック2リベンジ』『ローン・レンジャー』、そしてギレルモ・デル・トロ監督の話題作『パシフィック・リム』の予告篇がお披露目になったことが、最大のクリスマス・プレゼントでした。

今日はその中から、『パシフィック・リム』をとりあげます!

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ギレルモ・デル・トロ監督@SDCC
世の中的には『パンズ・ラビリンス』の、僕にとっては『ブレイド2』『ヘルボーイ』シリーズの監督であるギレルモ・デル・トロ監督が、日本の怪獣映画、そして巨大ロボット・アニメへのオマージュとして取り組んだ話題作が、この『パシフィック・リム』。

アメコミ映画ではないのですが、僕はこの映画の存在を知ったときから本当にワクワクして、12年のサンディエゴ・コミコンで、デル・トロ監督自らが本作のパネル(プレゼンテーション)をやると聞き、会場に駆けつけたほどです。

"パシフィック・リム"とは「環太平洋」という意味ですが、太平洋の海底から現れた謎の巨大生命体たちに世界中の都市が破壊され、人類は存亡の危機! 人類は対抗馬として、人間(=2人1組)が乗って操縦する巨大ロボットJaeger(イェーガー)を開発、戦いを挑みます! というすごいストーリーです!

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菊池凛子さん@SDCC

イェーガーは国ごとにさまざまなタイプがあり、日本が誇るイェーガーの名前は、"コヨーテ・タンゴ"! このロボットに、菊地凛子さん(少女時代を芦田愛菜ちゃん!)演じるヒロインが乗り込むのです!

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菊池凛子さんが着る戦闘スーツ

もともとデル・トロ監督は、ピーター・ジャクソンのもとで『ホビット』のメガホンをとるつもりでした。これが流れ、次にクトゥルフ神話をテーマにした『狂気山脈』をトム・クルーズ出演で作るハズでしたが、これもキャンセル。そして、本作にいきついたわけです。『パシフィック・リム』の製作が発表されたとき、デル・トロ監督は"モンスター映画ではなくKaiju=怪獣映画を目指す"的な発言をして、ファンの間で話題を呼んだのです。そう、わざわざKaijuと言ったのです。

「モンスター」と「怪獣」の違いはなにか? 実はアメリカ映画には、ゴジラやガメラのようなスーパー・モンスター系キャラは少ないのです。キング・コングが巨大なゴリラだったように、現実にいる生物の延長(恐竜も含む)か、あるいは神話に出てくるドラゴンやクラーケンのような魔物がほとんどでした。
98年のハリウッド・ゴジラ『GODZILLA』が、いわゆる"怪獣"ではなく"巨大なミュータント・トカゲ"だったのは、そういう背景があります。

しかしデル・トロ監督は、「日本の怪獣もの」をあくまで作りたかった。
僕は『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』のPRで来日した際、日本のアニメや怪獣映画が好きかを熱く熱く語った記者会見の場にいたことがあります。あの想いが形になったのでしょうね。

今回リリースされた予告を見て改めて感じたのですが、巨大生命体の造形が、ハリウッド・モンスターではなく、ちゃんとウルトラ怪獣テイストでした。
ということは、敵側も単なるやられ役ではなく、ちゃんとしたキャラが設定されているのかもしれません。そもそも、この巨大生命体たちの正体となぜ人類を襲うのか、がまだ明らかになっていないので、ここが物語のポイントでしょう。

もうひとつ『パシフィック・リム』で注目したいのは、イェーガーは、2人1組で操縦するということです。従ってパイロット同士の心が通じ合わないと、イェーガーは力を発揮できない、ここがエモーショナルな展開につながるのだと、デル・トロ監督はサンディエゴ・コミコン会場で語ってくれました。

なおサンディエゴ・コミコンの会場では、会場からの質問に答える形で
・イェーガーは複数9タイプぐらい登場。怪獣もの空海陸と7-8タイプ登場!
・"ロケット・パンチ"もあり!
と答えてくれました!! ロケット・パンチという単語を知っていること自体すごい!(笑)

というわけでとても楽しみな『パシフィック・リム』、いよいよ起動です!
(もしかしてJaegerってジェットジャガーを意識した? まさか<笑>)

『パシフィック・リム』2D&3Dで、13年夏公開です!
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※写真はすべて筆者(杉山すぴ豊)が、2012年のサンディエゴ・コミコン会場で撮影したもの。


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©2012 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.AND LEGENDARY PICTURES FUNDING,LCC

『パシフィック・リム』
2013年夏 丸の内ピカデリー他 3D/2D同時公開
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、菊地凛子、ロン・パールマン

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杉山すぴ豊

アメキャラ系ライターの肩書きで、アメコミ・ヒーロー映画やSF、モンスター映画についての伝道活動を、雑誌、TV、WEB等で展開。 映画「アメイジング・スパイダーマン」「アベンジャーズ」の劇場パンフレットにも寄稿しています。映画「サラリーマンNEO劇場版(笑)」にCMクリエーター役でなぜか出演。 AOL等でもコラム展開中。
また人気と評判の(笑)ブログはこちら http://supi.wablog.com/

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