『12人の優しい日本人』をみて、おいしいはやっぱり正義だと思った。

- 『12人の優しい日本人』
- 中原俊,三谷幸喜,東京サンシャインボーイズ,塩見三省,相島一之,上田耕一,二瓶鮫一,中村まり子,梶原善,豊川悦司

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久しぶりに見た三谷作品はやっぱり面白かったです。
本作は、三谷幸喜主宰の劇団東京サンシャインボーイズが、シドニー・ルメット監督の名作『十二人の怒れる男』をもとに作り上げた舞台劇を映画化したものです。
ある殺人事件の審議のために12人の陪審員が集められます。被告の罪の有無について話し合う場でしたが、被告人が若くスタイルの良い美人だったことから、無罪だと概ね決まります。
が、その中の一人が異を唱えたことから、話し合いが始まります。その話し合いの様子も、論理的に説明する者、自分と重ねて感情的になる者、すぐ人に影響されてコロコロ意見を変える人、逆に特に理由はないのに最後まで意見を変えない頑固な人、など様々です。
また、納得がいかず突然大きい声を出したり、責められて驚いて鼻血を出したり、持参したお酒を飲みだしたり、泣くのを必死にこらえたり、すねて参加しなかったり、その動作所作も様々。また、部屋でたばこを吸う姿は、1991年製作と時代を感じることもしばしばです。
職業も性別も年齢もバラバラで無作為に選ばれただけに、実に色んな人がいるのがとても面白く興味深かったです。
人間模様はもちろん、被告の罪が無罪になったり、有罪でそれも計画殺人を疑う展開になったり、また一変したりと、皆で意見を出し合いながら結論にたどりつく過程も見応えたっぷりです。
余談ですが、揉めたり怒鳴ったり言い合いになったりしても、飲食のシーンだけは平和がありました。冒頭、飲み物をオーダーする時や事件を解くカギとなってピザを注文する際の、わちゃわちゃと楽しい様子をみて、"おいしい"は正義だと思いました! これからはケンカになりそうなときや、揉めそうな際は、お腹を満たすことから始めようと決めました...!
(文/森山梓)

