『ジョゼと虎と魚たち』を見て障害者の恋愛について考える
- 『ジョゼと虎と魚たち』
- 犬童一心,妻夫木聡,池脇千鶴,新井浩文,上野樹里
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ジョゼは下肢麻痺で生活保護で暮らしている貧困家庭である。ある日、ジョゼの乗った車椅子が突き飛ばされ、それを止めたのが大学生の恒夫だった。ジョゼと恒夫の出会いである。それから恒夫はたびたびジョゼの家に顔を出すようになる。ジョゼも恒夫も徐々に惹かれ合うが、最終的には、恒夫はジョゼを捨てる。
この物語には希望と絶望が共存している。障害者が健常者と対等に付き合うことは無理なのだろうか。障害者にとって健常者と付き合うことは、必然的に自分の人生を健常者に負わせることに他ならないし、健常者にとって、障害者と付き合うことは、必然的に障害者の人生を背負っていくことに他ならない。少なくとも、恋愛以前に、お互いがそういう覚悟を持たなければ、付き合うことはままならない。愛は困難を乗り越えると言う言葉に現実的な問題は立ちはだかる。
実際には、健常者と障害者が結婚しているパターンはたくさんあるが、その影に、ジョゼと恒夫のような例がたくさんあるのだろう。最近、障害者同士のマッチングアプリの存在を知った。健常者と障害者が付き合うのが困難だから生まれたアプリだと思う。障害者同士ならお互いの困難を知っているから、より理解しあって、助け合って生きていくことができるのだろう。しかし、必然的に世帯収入は低くなる。ここは国や行政の介入で補助なり、改善があればいいと思う。
(文/神田桂一)