もやもやレビュー

『ジョーカー』に影響を与えた80年代名作『キング・オブ・コメディ』

キング・オブ・コメディ 製作30周年記念版 [Blu-ray]
『キング・オブ・コメディ 製作30周年記念版 [Blu-ray]』
ロバート・デ・ニーロ,ジェリー・ルイス,ダイアン・アボット,サンドラ・バーンハード,シェリー・ハック,マーティン・スコセッシ
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 『タクシードライバー』や『グッドウェローズ』で知られる名コンビ、マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロ。そんな2人が生み出した1982年の"異色の名作"である『キング・オブ・コメディ』を今回はご紹介。一度は「失敗作」と言われたものの、徐々に評価を博し、今では名作として、多くの影響を与えています。

 30代の男性、ルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)は、コメディアンとして成功する夢を抱いていました。ある日、憧れのコメディアンでテレビ司会者のジェリー・ラングフォードを出待ちしていた際、他の熱狂的ファンから彼を救ったことで、一緒の車に乗ることができたルパートは、必死で自分を売り込みます。ジェリーは、ルパートの情熱をいなすため、秘書に連絡するように伝えます。ルパートを追い払う口実だったのですが、一方ルパートは本気になり、妄想も膨らむばかり。次第に、彼のオフィスや別荘にまで押しかけるようになったルパート。しかし全く相手にされないルパートは、別の熱狂的ファンとともにある計画を立て......。

 ジェリーが親切な言葉をかけたことで、彼を親友だとまで思い込んだルパート。そんな彼は母と暮らす家で空想しながらトークショーを再現するなどの日々を送ります。現実と妄想の境目が曖昧なルパートにとって、「過激な行動で警察に捕まってしまうかも」という心配は全くなく、ただただコメディアンになる夢に突っ走っていくのです。ちなみに、トッド・フィリップス監督の名作『ジョーカー』は、本作から多くの影響を受けていると言われています。『ジョーカー』ではロバート・デ・ニーロが今度はテレビ司会者役を演じており、『キング・オブ・コメディ』へのオマージュが垣間見えます。ぜひ『ジョーカー』と比較して楽しみたい一本です。

(文/トキエス)

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