血しぶきと人体破壊描写に徹底した"ザ・B級映画"『ブック・オブ・モンスターズ』
- 『ブック・オブ・モンスターズ [DVD]』
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血しぶきと人体破壊描写(作り物感が満載だが)に徹底した本作は"ザ・B級映画"というノリが満載で、多少の脚本の不出来や雑な展開も気にならないほど清々しい。B級映画視聴者の「こういうのでいいんだよ」を体現したような作品だ。登場する怪物たちは日曜朝の特撮ヒーロー作品で見たような造形なのでちょっと考え込んでしまうが、変なオリジナリティを発揮されて気分が萎えるよりはいいような気がする。
18歳の誕生日を迎える主人公のソフィーは親友たちと盛大なパーティーを開くべく準備をしていた。その途中、ソフィーは父親から幼い頃に亡くなった母親が読んでくれていた不気味な本『ブック・オブ・モンスターズ』をプレゼントされる。
パーティーが始まると見知らぬ女性が不気味な本を手に取り悪魔を召喚。招待した友人たちが次々と惨殺される中、ソフィーは母親が読み聞かせをしてくれた本の内容を思い出し悪魔に立ち向かっていく――というあらすじ。
実際は冒頭で母親が本をソフィーに読み聞かせていると、その前で悪魔に殺されてしまうのだが......冒頭からかっ飛ばしている。おまけにソフィーが読み聞かせをねだる内容もオオカミ男とかウェンディゴ(カナダやアメリカ北部のネイティブアメリカンに伝わる精霊)とか、セレクトもどうにかしている。
そんな冒頭なのに、何事もなかったかのようにソフィーの誕生日パーティーの準備から物語はスタート。父親も妻が惨殺された時に持っていた本を何事もなくプレゼントするのはどうにかしていると思う。
パーティーが始まると謎の美女が勝手にパーティーに現れソフィーの本棚を漁り『ブック・オブ・モンスターズ』をゲット。童貞の生き血を捧げて怪物の姿に変身。ここからはパーティー参加者の臓物を引きずり出したり骨をぶっこ抜いたりやりたい放題。
トラウマ級の光景を目の当たりにしてもソフィーは幼少期に母親から読み聞かされた本の内容を思い出し弱点を攻撃。主人公側も斧やチェンソーで応戦するので「弱点とは?」となるが......。
基本的に爽快な作品ではあるが、登場人物が漏れなく設定の年齢を超えていそうな感がマシマシである点は気になった。無理に主人公の年齢を18歳にしなくても何ら物語に影響がなさそうだし、その辺りに目をつぶれば十分楽しめるように思う。どう見ても高校生らしき人間がいないんだよなぁ......。
(文/畑中雄也)