もやもやレビュー

イーストウッド主演の実話プリズン・ブレイク 『アルカトラズからの脱出』

アルカトラズからの脱出 [Blu-ray]
『アルカトラズからの脱出 [Blu-ray]』
クリント・イーストウッド,ダニー・グローヴァー,パトリック・マッグーハン,ロバーツ・ブロッサム,ジャック・ティボー,フレッド・ウォード,ポール・ベンジャミン,ラリー・ハンキン,ブルース・M・フィッシャー,フランク・ロンジオ,ドン・シーゲル
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囚人たちが脱獄を実行した実話をドラマで再現する 『モーガン・フリーマンの華麗なる脱獄』という番組を見ていたところ、そのなかでも、アメリカで最も厳しい難攻不落の刑務所といわれていたアルカトラズ刑務所、通称ロック(岩)の回が凄まじく面白かった。アル・カポネらマフィアのボスや凶悪犯ばかりが収監されたことで知られる孤島の刑務所で、コンクリートの要塞と周りを囲む極寒のサンフランシスコ湾。そして日に12回の点呼とくる。脱獄に成功したものは誰一人いない。いや、いなかった。

1962年、4名の囚人が半年以上もの時間をかけて脱獄を図り成功する。映画『アルカトラズからの脱出』では、リーダー役でもある頭脳明晰な服役囚フランク・モリスを若きクリント・イーストウッドが演じている。脱獄の手筈は実に唸らされるものばかりで、どうも信じ難いのだが、事実は小説よりも奇なり。個性的な仲間とともに、爪切りやスプーンで空気孔を掘り、屋上への通路をつくりだす。しかし、仮に脱獄できたとしても塀の外は海。どんな手を考えているのだろうか、とヒヤヒヤしてしまう。

本物の刑務所で撮影したからこその薄暗さや、可能なかぎり引き算された音楽も緊張感を増している。強いて言うなら、クリント・イーストウッドが格好良すぎるせいで、実話が嘘くさく見えてしまうのが玉に瑕か。この一件の後、アルカトラズ刑務所は閉鎖。モリスの生存も遺体も確認されていない。そんなところも、人々の興味を駆り立てる所以だろう。

(文/峰典子)

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