もやもやレビュー

タイプライター早打ちでエースをねらえ! 『タイピスト』

タイピスト! [Blu-ray]
『タイピスト! [Blu-ray]』
レジス・ロワンサル,ロマン・デュリス,デボラ・フランソワ,ベレニス・ベジョ,ミュウ=ミュウ
ギャガ
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

「輝かしくてロマンのあるもの。うれしくなるような感性がある。」大のタイプライターファンで、一時は250台を所有し、遂にはタイプライターアプリまで開発してしまったトム・ハンクスがインタビューでそう語っていたのを目にしたことがある。確かに、キーを打つごとに紙が移動し印字される構造。そしてカシャカシャという音はレトロでロマンティックなものである。

映画『タイピスト』は、女性の社会進出が活発となっていた1950年代のフランスを舞台に描かれる、ガーリー"スポ根"ストーリー。当時の働く女性のステイタスは、秘書になること。主人公のローズも秘書を夢見るひとりだったが、研修で上司に見初められたのはタイピングの早さ。タイピングコンテストに出場するために、あの手この手で熱血特訓する二人。その姿は『エースをねらえ!』さながら。そして、恋に落ちるのも時間の問題のようで...。

監督はタイプ早打コンテストのドキュメンタリーTVを見て、この映画のストーリーを思いついたとか。思いがけず大変だったのが、当時のタイプライターを集めること。見つかった200台を、新しいものに見える様に手直しし撮影に挑んだそう。『オーケストラ!』『アーティスト』の制作陣が集結しつくられただけあって、まるで50年代にダイブしたかのような、こだわり抜いた世界観が素晴らしい。

(文/峰典子)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム