もやもやレビュー

買い物とウワキ『愛の昼下がり』

愛の昼下がり [DVD]
『愛の昼下がり [DVD]』
ベルナール・ヴェルレー,ズズ,フランソワーズ・ヴェルレー,ダニエル・チェッカルディ,マルヴィーヌ・ペンヌ,バベット・フェリエ,エリック・ロメール
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アパレル店員に話しかけられたときの正直な気持ちは、「ゲッ」。とはいえ、試着後におだてられたりすると、調子に乗って買ってしまうから困る。なかでもエリック・ロメール監督の『愛の昼下がり』(1972年)に出てくる店員は、なかなか強引なタイプ。主人公のフレデリック(ベルナール・ヴェルレー)がタートルネックを求めて衣料品店に入店したときのこと。女性店員は探しもせずにサイズがないと言い、「ネルシャツはどう」と早々に別のものを売りつけようとしている。「でもネルシャツはほしくないんだ、買わないよ」。フレデリックはきっぱりと断るものの、なぜか彼は試着室へと誘導され、最終的にネルシャツを購入している。フランスのアパレル店員はこんなに手強いのか。

フレデリックがこんなにもかんたんに乗せられてしまうのは、実は大の女好きというせいもある。女好きといっても家族持ちなので、基本的には妄想止まり。ところが、自由人、クロエ(ズーズー)が彼を誘惑しはじめると、妄想にとどまらず本当の関係を持ちそうになる。彼は一線を越えずにいられるのか...?

新しいもの欲しさという意味では、買い物も浮気も、出発地点は似ているような気がする。店員にうまいことを言われて衝動買いしてしまいそうなときは、クローゼットのなかで着られる日をジッと待つ洋服をいま一度思い出そうと思う。

(文/鈴木未来)

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