アイディアひとつで主婦から億万長者に『ジョイ』

インスタグラムは、なんとライフハックネタに溢れていることか。キッチングッズの新商品だとか、突っ張り棒の意外な使い方とか、サンドイッチをお店みたいに上手に包む方法だとか。アイディアに満ち溢れた人というのは、どの時代にもいる。生活の中で、小さな不便を抱えながら生きていくか、それとも自分なりのコツを見出してしまうか。後者は前向きで、諦めず、閃きを形にするための努力を怠らない、そんな人たちである。そして時折、とんでもないビッグバンを起こす。

かつて、アメリカの主婦を煩わしい家事から解放した掃除道具、ミラクル・モップをご存知だろうか。現在も販売されつづけるそれは、持ち手を回すだけでモップ部分が絞れるという画期的なアイディアで、90年代のアメリカで消費者の心をとらえた人気商品。本作のタイトル『ジョイ』とは、それを発明した実在の女性ジョイ・マンガーノのこと。彼女の創意工夫の才と、ミラクル・モップを世に送り出すまでの波乱万丈を描いた作品である。

子どもの頃からアイディアに長けていて、モノをつくるのが大好きだったというジョイ(ジェニファー・ローレンス)。しかし、離婚した夫や曲者の両親に翻弄され、成功からは道が遠い。ミラクル・モップを思いついてからも、一歩進めばまた一難。我慢すればきっとハッピーが待っているのだろうと、こちら側は思っているのだが、なかなかの失敗続きなので、ジリジリしてしまう。でもご安心あれ。ジェニファー・ローレンスにロバート・デ・ニーロ、ブラッドリー・クーパーと演技派で固められた布陣で、元気の出るサクセスストーリーに仕上がっている。ジョイは現在も精力的に活動中。その姿は、見終わった後に検索してみてほしい。

（文／峰典子）