「Black Lives Matter」抗議デモをもっと深く知るために。『ヘイト・ユー・ギブ』
- 『ヘイト・ユー・ギブ (字幕版)』
- ジョージ・ティルマンJr.
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5月にアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドさんが、白人警察に7分以上も首を圧迫され、亡くなってしまった痛ましい事件。その事件がきっかけで「Black Lives Matter(黒人の命は重要)」と掲げた抗議デモが、アメリカを皮切りに世界各国で行われています。日本でもメディアでよく取り上げられているため、耳にする人も少なくないでしょう。抗議デモを見て、なぜ海外セレブたちも参加しているの? 警官はなぜ黒人を恐れるの? 疑問を持った方に見てもらいたいのが、『ヘイト・ユー・ギブ』。幼馴染が警官に射殺され、立ち上がる16歳の少女を描いています。
主人公は、白人が多い私立学校に通うスター・カーター。学校では「いい子」を演じ、自宅へ帰れば素に戻る、2つの顔を持ちながら暮らしていました。ある日、地元のパーティーに参加したスターは幼馴染で初恋の人、カリルと再会。昔話に花を咲かせていたところ、銃声が聞こえ、急いでカリルはスターを車にのせてその場から立ち去ります。しかし、道中で警官に止められたカリル。彼は、車外に出るように指示されるのですが、スターの様子を確認しようとしたときに警官に銃を取り出したと勘違いされ、射殺されてしまいます。
突如、幼馴染を目の前で亡くしたスター。しかし学校では「哀れなスター」だと思われたくないと、沈黙を貫いていました。しかし次第に「黙っていることはおかしい」とテレビ出演などを承諾します。
本作の冒頭で、スターの父が「警官に止められたらダッシュボードに両手を置け」「冷静に指示に従え」など、警官に止められた時の対策を幼いときから家族に厳しく教えるシーンがあり、冒頭から心打たれます。平和的な抗議デモが暴徒化してしまったり、警官が耳を傾けなかったりと、映画で描かれていることと同じことが、今まさに、世界で起きているのです。差別がなくなる平和的な世界を願って。今起きていることを深く知るために。まさに今、見るべき一本です。
(文/トキエス)