羊頭狗肉という言葉を思い出させる『レイク・モンスター 超巨大UMA出現!』
- 『レイク・モンスター 超巨大UMA出現!』
- ドルフ・ラングレン,スコット・アドキンス,ホァン・イー,エリック・スタイルズ
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スコット・アドキンスとドルフ・ラングレンという肉体派俳優が巨大な生物と戦うというアクション映画としてはアタリになるはずだった本作は、蓋を開けると自身の引きの悪さに枕を濡らすほど酷かった。アクション映画に大した物語性は期待していない。単純に鍛え抜かれた肉体が巨大な敵と戦う様が観たかったのに、それすらないとしたら観るべき部分がゼロになってしまう。先入観を除いて視聴すれば、ボロクソに言うほど酷いものではないのだが、予告編などで2人をやたら取り上げた末のことなので広報が悪い。
動物学者のスコット・アドキンスの元に、湖近くの建設現場で作業員が次々と大きな生物に食いちぎられている事件が発生し原因を調べてほしいという依頼が舞い込んだ。偶然撮影された映像には全長6メートルを超える未確認生物が映っており、現地へ乗り込むのだが――というあらすじ。上記の通りアクション映画に脚本の妙は求めていない。肉体派俳優が派手なガンアクションで巨大生物をやっつけたり激しいバトルを繰り広げたり、そういう爽快感しか求めていない。しかし、求めるものは1秒たりとも映っていなかった。
敵が巨大生物なので銃は出てくる。ただし麻酔銃。トカゲのような巨大生物を捕獲するのだが、逃げ回って罠に誘い込むという手口。現実的な方法ではあるが2人を起用した意味がない。大体、スコット・アドキンスのようなムキムキの学者がいるか!
せめて巨大生物が派手に人を襲うというシーンでもあればいいのだが、1人ひとりを襲うという無駄な知性を発揮。スコット・アドキンスやドルフ・ラングレンと殴り合いを期待していたというのに、ひたすら「これじゃない」感が募る。
冒頭でも触れたが、余計な先入観さえなければCGはちゃんとしているし、映像も悪くない。動物学者役が学者然とした細いタイプだったら巨大生物との知恵比べもそういうものとして楽しめただろう。もっとも、そうした映画だった場合、果たして手に取ったかは別の話だが。
(文/畑中雄也)