イザベル・ユペールの演技が恐ろしい!フランス発スリラー『エル ELLE』
- 『エル ELLE(字幕版)』
- イザベル・ユペール,ロラン・ラフィット,アンヌ・コンシニ,シャルル・ベルリング,ヴィルジニー・エフィラ,ジュディット・マーグル,デヴィッド・バーク,ポール・ヴァーホーヴェン
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昨年11月に公開されたスリラー作品『グレタ GRETA』。クロエ・グレース・モレッツ演じる親切な女の子が、怪しい女性にストーカーされる恐ろしい映画なのですが、本作でクロエ・グレース・モレッツよりも光っていたのが、その怪しい女性を演じていたイザベル・ユペール。彼女の演技がトラウマになるほど怖くて、同じスリラー好きの友達に興奮を語ったら「『エル ELLE』の演技もはんぱないよ」と教えてもらい、さっそく鑑賞。いやあ......どうやったらあんなにも恐ろしくて魅惑的な演技ができるのか、不思議でたまらない一本でした。
主人公はゲーム会社のCEOであるミシェル(イザベル・ユペール)。彼女は自宅で覆面の男にレイプされてしまいます。しかし彼女は「騒ぐことでもない」と考え、警察も呼ばず、友人たちにも食事会で世間話のようにレイプされたことを告白。実は彼女は警察嫌い。それには理由がありました。彼女が子どもの頃、父親が重大な犯罪を犯したとき、警察はなんの役にも立たなかったからです。レイプ後もあっさりクールな態度のミシェルでしたが、会社に嫌がらせのメールが届いたり、留守中に誰かが侵入した形跡を見つけたりしたことで、徐々にレイプされた事件のことを思い出していきます。
まず異様なのが、冒頭のシーン。レイプ犯が逃げたあと、何食わぬ顔で割れた食器などを片付け、顔に痣ができているのにも関わらず息子にも「ころんだだけ」と説明するミシェル。なんでこんなにも冷静でいられるのか。彼女はなぜこんなにも自分自身に興味がないのか。そんな大きな疑問を持たせられるところから本編がスタートするのです。ストーリーが進むにつれ、ミシェルの本性が暴かれていき、クールというイメージから、冷酷で冷徹というイメージに変わっていきます。重たいストーリーよりも、イザベル・ユペールの怪演に衝撃を受け、鳥肌立ちっぱなしの一本でした。
(文/トキエス)