もやもやレビュー

お金の欲求か男の友情...果たしてどちらが強力か。『ザ・スリル』

ザ・スリル LBXC-542 [DVD]
『ザ・スリル LBXC-542 [DVD]』
パット・ヒーリー,サラ・パクストン,イーサン・エンブリー,デヴィッド・ケックナー,E・L・カッツ
エーアールシー株式会社
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 男の友情――。女である私が一生味わうことのないアツく強く美しいもの。そんな男の友情に憧れ、バディームービーを好んで観てしまうという女性も少なくないのでは。そんな男の友情と、お金。果たしてどちらが大切かという問題をテーマにした、ちょいグロ映画がありました。タイトルはいたってシンプルな『ザ・スリル』。

 元作家のクレイグは、可愛い赤ちゃんと優しい妻の3人暮らし。平凡で幸せな毎日を送っていましたが、突然職を失います。しかも、家賃滞納で立ち退きを宣告されてしまい、頭の中はそのことばかり。憂鬱な気分でバーに立ち寄ったクレイグは5年ぶりに学生時代の友人ヴィンスと再会。お金の事情を話すとヴィンスは「これだけしかないが...」と自分の有り金を渡そうとします。「もっと大金が必要なんだ......」ため息をつきながらトイレへ向かったクレイグは、男がドラッグ吸引のために使い、便器に捨てたドル札を複雑な思いで拾い上げます。

 濡れた手を払いながらトイレを出ると、なんとさっきドラッグを吸っていた男夫婦とヴィンスが仲良くなっていたのです。男は妻の誕生日を祝いたいと、ショットを早く飲み干した方にお金を与える簡単な賭け事を提案。お金が必要なクレイグとヴィンスは男が提案する賭け事に挑戦していきますが、次第にエスカレートしていき....

 スリル満点のスリラー映画。いかにもB級映画らしいシンプルなストーリーラインも◎。しかし、やはりお金の額が高くなるに連れ、男の友情にヒビが入っていきます。またエスカレートしまくった賭け事の中には思わず目をそらしたくなるシーンも。

 果たしてお金か男の友情かどちらが大切なのか。理性を失った男たちが友情を守れるのか。まさに実験動画を観ているかのよう。どうでもいいですが、エンドロール直前のシーンがなんだかカッコいいですので、そこも要チェックです。

(文/トキエス)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム