リアルで美しい死の描写は、まさにアート。『パージ:大統領令』
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1年に1度だけ、殺人を含む全ての犯罪が12時間合法になるという衝撃的な内容で人気を博した『パージ』シリーズ。3作目である『パージ:大統領令』は、公開当時、実際にアメリカ大統領選が行われたことからシリーズ最大の大ヒットをかましました。そんな本作、ストーリーを盛り上げてくれる狂った人たちが、わんさか登場します。
1年に1度、すべての犯罪が合法になる法律 "パージ"。過去にパージで家族を惨殺されてしまった院議員のローンは、反パージを掲げパージ法を容認するアメリカ政府と対立。選挙が迫り国内の意見が真っ二つに割れる中、いよいよパージの夜が幕を開けます。もちろん、ローンは政府の暗殺の標的に。そんな彼女を助けるため、元警察官で護衛のレオは12時間を生き延びるために奮闘します。一方、街でもパージの準備が行われていました。スーパーの店主ジョーは、急に値上がりしたパージ保険料を払えず、バイトのマルコスとともに店の屋上で自ら警備を開始します。
パージの夜。ジョーとマルコスが警備していると、そこに現れたのは金ピカの車。乗っていたのは、パージが始まる前にスーパーで万引きし、ジョーから注意された女子高生たちでした。血だらけで、ド派手な格好をしたティーンエイジャーたち。「私のチョコバー!!!」と狂いながら店を破壊していきます。暴走する若者って本当、怖い。思わず成人式の暴れまくる若者と重ねながら見てしまいました。ほかにも、今回はパージのためだけにやって来た外国人たちも参加。狂いまくった人たちが、狂った方法で人を次々と殺めていきます。
特に注目したいのは、死の描写。本当の死の現場を見たことがあるわけでは当然ないですが、リアルさに圧倒されました。演技がダメダメすぎて逆にカルト的人気を誇る『ザ・ルーム』に登場するジョニーの死に方が1点だとしたら、もう1億点くらいになっちゃうほど。思わず目を覆ってしまう描写が私のお気に入りです。そんな衝撃的な描写に加えて、狂った人たちが死体を木に吊るして遊んだり、瀕死状態の人を車に縛り付けて暴走したり。グロいを通り越して、一種のアートのようにも思えました。ストーリーラインに驚く!! ということは残念ながらありませんでしたが、スリルを味わうには最高の一本です。
(文/トキエス)