もやもやレビュー

『卒業』を見て、プラスチックを思った。

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昨年の大きなトピックの一つとなったプラスチックの脅威。いまに至るまで生産されてきたプラスチックのうち、リサイクルされているのはほんの数パーセント。そのほかは埋め立て処分、もしくは海にポイ捨て状態であることが明らかになった。環境保全に向けて、シアトルでは昨年の7月にプラスチック製のストローやフォーク、ナイフなどを廃止するよう条例が施行された。その後も世界中でプラスチック製ストローを禁じる動きが進んでおり、世界はプラスチックの痛手を感じざるを得ない状況に及んでいる。

ところがマイク・ニコルズ監督の『卒業』(1967年)が公開された50年ほど前は、そんなことがまるで頭をよぎっていないように思える。何せ卒業したてのベン(ダスティン・ホフマン)に彼の父親が「プラスチック業界がいいそうだよ」と薦めるシーンがあるほど。当時はよかれと思って生産を続けてきたことによるボロが、居た堪れない形で姿を現している現状がふと頭をよぎった。

そんな中、40年経っても変わらないのは、人の心情である。ベン(ダスティン・ホフマン)は大学を卒業したばかり、この先の行先は不明。これからの人生にいまいちウキウキできない彼は、ミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)に誘惑され、彼女にされるがまま、体の関係を持ってしまう。でも、後に彼女の娘であるエレイン(キャサリン・ロス)に惹かれると、ミセス・ロビンソンとの関係はいけなかったとハッとし、純粋に愛し合える、心地のいい相手を求めるべきだと気づくわけ。(それにしても母と娘に手を出すだなんて厄介なオトコ!)

とは言ってもベン然り、人はある程度の道徳が備わっていれば、何かしらのヒントを提示されることで自分の過ちに気づくものだと思う。ベンがエレインと逃げ去ったことが良き判断だったかはさておき、ストロー廃止の動きをヒントに、地球の未来をしっかりと考えた上でプラスチックに手を出したいものである。

(文/鈴木未来)

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