もやもやレビュー

羊頭狗肉ってレベルを地で行く『オクトパス』

オクトパス(字幕版)
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 本欄でサメを題材にしたクソ映画を何本か紹介してきた。今回は趣向を変えてタコである。しかも、放射能で巨大化したタコ。アメリカ人は放射能を何だと思っているのだろうか。設定が雑過ぎる。フィクションとはいえ、もう少しどうにかならないものだろうか。

新人CIAエージェントのロイはブルガリアで逮捕した国際テロリストのキャスパーを逮捕し、潜水艦で護送する。その途中、悪魔の眼と呼ばれる海域で巨大なタコに襲われる。そのタコはキューバ危機の際に沈没したロシアの原水艦から漏れた放射能によって生まれたモンスターだった――。B級映画であらすじを説明するほど不毛なことはないと思うが、世の中の皆様はこんなものを観ている時間はないであろうから一応記す。ちなみにタコは最後の最後まで出てこない。ジャケットにはタコ足が豪華客船を絡めているというのに。羊頭狗肉を地で行っている。サメ映画が良心的に思えるレベルで詐欺である。

B級映画あるあるだが、主人公はボンクラである。逮捕したキャスパーを見張りもせず放置して逃走を許し、ジャック船長にとがめられると逆ギレ。ボンクラのくせに可愛げがないので単なるクズである。潜水艦がタコに襲われたために豪華客船に逃げ込むが逃げ込んだ先はキャスパーの仲間がシージャックした船。パニック映画の体なので延々と混乱が続く。
仲間の助けを得てヘリで逃走しようとするキャスパーを追ってきたタコが殺害。主人公のロイ、ここまで活躍なし! しかし何故かヒロインとキスをしてタコを爆殺するため小型船で出撃。戻ってくるとヒロインはジャック船長と恋仲になっているという寝取られエンド。視聴しているこちらがパニックに陥る。

ギリギリまでタコが出てこないのは不気味さを高めるためかと好意的な見方をしていたが、模型をちゃちなCGで破壊するという残念ぶり。こんなものを一々出していたら本作はもっと酷いことになっていただろう。いっそのことギャグとして振り切ればまだマシだったかも知れないが......。
(文/畑中雄也)

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