もやもやレビュー

他者の評価のみに流される愚者の夢物語『GIRL ガール』

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 本作のキャッチコピーが「すべてに本気でがんばるGIRLたちに贈る」とあるので筆者はターゲット外である。中年の男なので。原作も「女子力のバイブル」と称されているらしいので、いよいよ自分には関係ない。ゆえに「お前がそう思うんならそうだろう、お前ん中ではな」という感想しかなかった。強いて得たポジティブな感想は「こんな奴らがいない世界で暮らせていることを神に感謝します」くらい。

 会社や仕事が異なるものの由紀子(香里奈)、聖子(麻生久美子)、容子(吉瀬美智子)、孝子(板谷由夏)は仲の良い友人同士。それぞれが仕事や家庭、子育てなどに葛藤しそれぞれの答えを見つけていくという内容。
 由紀子は30歳を前にして自身のファッションや付き合っている男にときめきを感じなくなったことや仕事上の問題を抱え、いつまでも少女のようにいられないものかと悩む。
 聖子は男尊女卑思考の年下の部下と年収とキャリアが下の夫について葛藤。容子は一回り年下の部下への恋心と妹の結婚に煩悶。孝子は子供との距離感と周囲の気遣いに落胆している。

 由紀子の問題は「知らねぇよ」、聖子の問題は「言っていること矛盾してねぇか?」、容子の問題は「頑張ってください」、孝子の問題は「エスパーじゃないので察せられません」で済む。珍獣を紹介する動物園かな?
 おまけに相手役の男たち(空気の読めない彼氏、格下の夫、年下のイケメンなど)は書割から出てきたように薄っぺら。それがヒロインたちにひれ伏すのだから都合のいいお人形遊びでしかない。
作中では主人公たちを女性の代表のように描くが、他者の評価だけに流されているバカが、ドツボにはまって相応の苦痛を味わったとしても当人以外困らない。極めて個人の問題だ。それを社会や女性全般の問題にすり替えようとしても無理がある。相応の罰を受けている輩がごり押しで救済される様を見て世の理不尽でも追体験すればいいのだろうか。そんなデタラメは現実だけでお腹いっぱいだ。

 「もしかして本作は女性蔑視を無意識に刷り込むため悪の組織が制作したのではないか」と妄想をたくましくしながらWikipediaで調べたところ、2日で9万人近くを動員したと記してあった。口コミサイトの評価も「共感した」との書き込みが多数。
 ......まぁB級映画を愛好してやまない奇人変人もいるから多少はね。
(文/畑中雄也)

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