もやもやレビュー

視聴者の脳内をレイプする『レイプゾンビ』

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 ゾンビ映画の巨匠であるジョージ・A・ロメオが7月に死去したニュースに触れ、「そういえばゾンビ映画を真面目に観たことがないな」とレンタルショップに駆け込んだ。
 ロメオ監督のゾンビ映画であれば数多の評論家から愛好家までが語りつくしているであろうことから、変化球を狙って視聴したのが国産ゾンビ映画『レイプゾンビ LUST OF THE DEAD』(2012/友松直之監督)。変化球どころか酷いビーンボールで、視聴後は頭を撃ち抜かれたような衝撃を受けた。

 ある日、原因不明の理由で世界中の男性がゾンビとなり女性を襲い出した。ゾンビたちは「毒男」と呼ばれ、襲われた女性たちは中出しされると猛毒で死ぬ。毒男たちは首を刎ねても心臓を貫いても動き続け、唯一の対抗策は男性器を破壊すること――。

 あらすじがかなり酷いが、冒頭シーンはもっと酷い。「レイプゾンビ~!」というシャウトをBGMに延々とレイプ。『デトロイト・メタル・シティ』作中の歌詞を映像化するとこんな感じなのだろうか。取り合えずシラフで観るには辛いものがあったので、冷蔵庫からビールを取り出した。

 ビールを啜りながら眺めていると、ところどころにゾンビ映画の名作へのオマージュが散りばめられている。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』で一軒家に集まる場面のように神社へ逃げ込む主人公たち。『ゾンビ』のように呑気にワーキャー騒ぎながらゾンビを撃ち抜く女性たち。『バタリアン』を思い出させる北朝鮮からのテポドン投下と黒い雨......が、オマージュをいくら並べてみせてもこの映画の理解には何の役にも立たなかった。この他に、レイプシーンのところどころに挟まれる日本神話などをモチーフにした展開もあった。しかし、さっぱり物語と合致しない。意味を考えた己のアホさ加減にウンザリしたので、棚からウィスキーを取り出した。

 挙句、登場人物である看護師のノゾミと、毒男に襲われているところをノゾミに助けられたモモコがセックスをやり出し、その結果新しい人類が生まれ、毒男たちを従え荒廃した街を行進するというカオス。ベロンベロンに酔っぱらって視聴を終え、自分の顔を鏡で見たらいわゆる「レイプ目」のように光を失っていた。レイプされたのは作中の女性ではなく、自分だったのかと妙に納得する。ここまで書いて、何について書いているのかさっぱり分からん。

 本作はシリーズ5作まで制作されているので、多分、おそらく最終作で謎が解明されると信じたいが、本作を視聴した後に残り4作を連続で観る気力は残っていない。

(文/畑中雄也)

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