もやもやレビュー

『Chatroom/チャットルーム』を観て、最近流行の「SNS断ち」をしたくなった。

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 人と人とのつながりに大きく貢献しているFacebookやTwitter。しかし、「いいね!」の数が気になったり、無意識にアプリを開いてしまったりと、なにかと依存しやすい傾向にあったりもする。そんなSNS依存、実はめちゃくちゃ怖いんです......そう思わずにはいられない作品がある。日本を代表するホラー映画『リング』シリーズの中田秀夫監督が、イギリスで撮った心理サスペンス『Chatroom/チャットルーム』(2010)だ。

 主人公は、過去に自傷行為をして、家族とうまくいってないウィリアム。部屋にこもってネット上に自分で作ったチャットルームに入り浸り、見知らぬ相手とコミュニケーションを楽しんでいた。しかも、自殺映像を観るのが好きという悪趣味なウィリアムは、ネット仲間のジムがうつ病だと知ると、自殺行為をするように仕向けていく。

 ウィリアムのチャットルームに集まったのは、ロリコンだったり、モデル仲間に嫉妬する女の子だったり、親の愛情を注いでもらいたい一心で悪さをする女の子だったり......ちょっとした問題を抱える若者ばかり。まったく知らない相手なのに......だからこそ、現実世界で交流のある人に明かすことの出来ない本心を、いとも簡単に曝け出してしまう。そんなネット仲間を、ウィリアムは言葉巧みに悪さをするようそそのかす。そんなシーンを観ていると、便利なSNSが、もう恐怖の存在にしか思えなくなる。

 最近流行している「SNS断ち」は、一定期間SNSを見ないようにすること。以前より時間を有効に活用できるというメリットもあるが、情報の収集が遅れたり、禁断症状が出てストレスになったりと、デメリットもあるのだとか。しかし本作を観れば、ネット上でのやり取りが、時には人の命をも簡単に奪ってしまうという恐怖心が芽生えてくる。「SNS断ちするか迷うわ〜」という人は、本作を観れば直ちに「SNS断ち」したくなること間違いなし。

(文/トキエス)

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