国家権力を総動員させた壮大な駄作。『プルガサリ』

　特撮というジャンルに入るのか、一種の羞恥プレイなのか判断に迷う北朝鮮の国策映画。絶望的につまらなく、95分という比較的尺の短い映画なのに初見で５回も寝落ちした。日本の特撮スタッフも撮影に参加しているらしいけど、どうしてこうなった。鑑賞自体が既に拷問。

　あらすじから自己否定のボケをかましたのか何なのかよく分からない内容。無念のまま飯を練って獄死した主人公の父の形見が、ふとしたことから金属類を食す怪獣に変身。悪役をばったばったと倒し殲滅させハッピーエンドなのかどうか不明な展開に。王朝を倒したのち金属を片っ端から食い漁り、怪獣をおさめるため主人公が身を捧げ死亡−−。

　プロパガンダとしてはあまりにお粗末で、脚本書いた人間のオツムが本気で心配になる。ミサイルっぽい「何か」まで出てきたのは制作スタッフの自嘲なのだろうか。そうだとすれば違う意味で面白い作品と評価出来なくもない。ただ、この映画を好んで観るなんて自傷行為に近い。

（文／畑中雄也）