死ぬまで治らない系の病『ドラッグストア・カウボーイ』
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何年か前、近所のドラッグストアに複数人の男女が侵入しモルヒネを保管している金庫ごと持って行ったという事件があったことを、ふと思い出した。犯人の検挙まで至らず。金庫は山中から発見され、中身の麻薬を奪われた形跡はなかった。
「それって『ドラッグストア・カウボーイ』まんまじゃねぇか!」と、思わず『ドラッグストア・カウボーイ』を急に観返したくなった。
ざっくりし過ぎたあらすじを説明すると、主人公夫婦と不快な仲間たちが、ドラッグストアで薬物を強奪し末期のヤク中になり見事な破滅っぷりを披露するという内容。イケメンや美女が自業自得で破滅する姿は、男の私でもウットリする。まぁ、そういう趣旨の映画じゃないんだろうけど。
映画の脚本を手掛けたジェームス・フォーグル(当時73歳)は実際に『ドラッグストア・カウボーイ』をやって逮捕された経験があるジャンキー。老いてもなお衝動に駆られるって、薬物の誘惑が強すぎるのか単純に損得勘定出来なかったのか。どちらにせよ薬物は「ダメ、絶対」。大体、割に合わない。
高齢になってもデタラメかます根性を褒めるべきか、麻薬の誘惑はそんなに恐ろしいものなのかと戦慄するべきか。判断に迷う。
(文/畑中雄也)
追記
※ジェームス・フォーグルは2012年に肺がんで死去、75歳。