純粋に人を愛することを改めて教えてくれる『妹の恋人』

誰しも恋愛で苦悩したことがあると思う。色んな経験や、年を重ねるごとに、自分のキャリアやライフスタイルに合う人でないとお付き合いできない！等、いろんな壁が立ちはだかり"純粋な恋愛"の仕方を忘れてしまった方も多いのでは？　そんな方にオススメしたいのが『妹の恋人』。
かの有名な『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウや、最近では『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』でチョビヒゲのインチキ美術商を演じるなど、スクリーン上でほとんど素顔を見ることがなくなったカメレオン俳優ジョニー・デップが、本作ではピュアな役柄を素の顔で演じている。今とはまた違う若かりし頃のジョニーに惹かれること間違い無し！な作品でもある。

静かな片田舎で暮らす兄ベニーとジューン。両親を幼い頃火事で亡くしているため、ベニーはジューンを親のように見守り世話をしていた。ジューンは精神的な病を持っており、神経過敏であったため精神科医に施設を勧められるが、ベニーは決心がつきかねていた。ある日、友人の家でポーカーに負け、そのツケで勝負相手の家に居候している、サイレント映画に憧れる不思議な青年サム（ジョニー・デップ）を引き取り、同居生活を始めることになる。

サムの特技はパントマイム。字を書く事が苦手だが、誰にでも純粋無垢に接する無邪気な彼に、ジューンはだんだん惹かれていく。

本作で注目してほしいのは、精神的な病を持つジューンと、無口な青年サムとの恋愛模様。どちらも「恋愛が得意！」というタイプではないけれど、そんな二人の距離が徐々に縮まっていく様はまるで、多くの人が忘れてしまった"純粋に人を愛する方法"を改めて教えてくれる教科書のようだ。

彼らはとても不器用だけれど、"純粋に人を愛し、お互いを想いやる"ということを確実に行える豊かさを持っている。これは、お金やキャリア、自分のライフスタイルよりも大事なことではないのだろうか。今、恋愛に悩んでいる方にはぜひこの作品を観て、"純粋に人を愛すること"について考えるきっかけにしてみてほしい。

（文／アヤカ・ブルクレ）