仕事が上手くいく秘訣は、おじさんに愛されること! スカヨハに学べ。『LUCY/ルーシー』
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- スカーレット・ヨハンソン,モーガン・フリーマン,チェ・ミンシク,アムール・ワケド,リュック・ベッソン
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仕事をするには、異なる世代の人たちとも上手に関係作りをすることが不可欠。学生時代はお父さんか先生ぐらいしか触れ合うことがなかった人も、ひとたび社会に出れば、「おじさん」という人種とのお付き合いは、そこで生きていくために避けては通れません。
やっぱり今でもおじさんが中心になって回っている日本社会。仕事を持っているのはおじさん。決定権があるのもおじさん。そんなおじさんと、いかに良好な関係を作れるかは、仕事をする上で死活問題とも言えるのです。
おじさんとの関係作りが上手な人物といえば、数多のおじさんたちのミューズといっても過言ではないスカヨハことスカーレット・ヨハンソンです。出世作の『ロスト・イン・トランスレーション』ではビル・マーレイと、『真珠の耳飾りの少女』ではコリン・ファースと淡い恋模様を演じ、ウディ・アレンからの熱烈ラブコール、そしてリュック・ベッソンも彼女の虜に。おじさんたち、スカヨハ好き過ぎなんです。なぜ? その答えの一端が、彼女が主演したリュック・ベッソン監督『LUCY/ルーシー』の中にありました。
10〜15%しか機能していないという人間の脳を、100%使い切れたらどうなるのか? そんな興味深いテーマを描いた『LUCY/ルーシー』。モーガン・フリーマンとチェ・ミンシクというダンディが脇を固める中、スカヨハはある事故によって脳が覚醒した超人女子を演じます。
世界中で大ヒットを記録したこの映画。『男たちの挽歌』や『AKIRA』、『E.T.』に『2001年宇宙の旅』など、わかりやすいオマージュがてんこ盛りで、変な顔の類人猿とスカヨハがE.T.する場面だとか、2台のPCをすごい形相で同時打ちしている場面では、さすがに笑いをこらえきれなくなってしまいます。さらに、黒いブラジャーが白いTシャツから透けたスカヨハのショットが妙にエロく、たいしたシーンでもないのに鮮烈に印象に残ります。
というわけで、基本的に脳の覚醒をネタにして、リュック・ベッソンが好きなことをやりまくるアホ映画。ではあるのですが、同時に感じられるのが、スカヨハの圧倒的な母性と包容力です。ベッソンおじさんの妄想にとにかく全力で付き合うスカヨハの姿は、まるでやんちゃ盛りの息子と本気で遊んであげているお母さんのよう。ほどよい肉付きの体と相まって、なぜだか不思議とほっこりしてくるのです。
おじさんと仕事をする上で大切なのは、おじさんを全力で愛しリスペクトする心なのではないでしょうか。身を任せながら、一方で母のようにリードするスカヨハのおじさん掌握術、偉大です。
愛には愛の倍返しを! 愛されたいならまず愛せ! 二丁拳銃のスカヨハが、教えてくれます。
(文/鬱川クリスティーン)