10年前にすでに描かれていた、女子会男子が女子会に参加する理由。『スウィングガールズ』
- 『スウィングガールズ [Blu-ray]』
- 上野樹里,貫地谷しほり,本仮屋ユイカ,豊島由佳梨,平岡祐太,竹中直人,白石美帆,小日向文世,渡辺えり子,谷啓,矢口史靖
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最近話題の「女子会男子」。女子ばかりの集まり=女子会の中になぜか一人だけ混じっている男子のことを指す言葉。女子にとっては、場を和ませてくれる緩衝剤としてメリットを感じられる存在ですが、当の本人はそんな会合に参加して果たして楽しいのか?甚だ疑問です。が、『スウィングガールズ』を観て、女子会男子は女子会が好きだから参加している、ということがわかりました。
東北の片田舎で暮らす落ちこぼれ女子高生たちが、夏休みの補習をさぼるために吹奏楽部のピンチヒッターに。はじめはやる気ゼロだったけど、いつの間にか楽器とジャズに魅了され、女子高生ビッグバンドを結成する・・・というお話です。いずれもオーディションで出演を勝ち取ったという、若かりし頃の上野樹里や貫地谷しほりの出世作でもあります。
タイトルからも、女子高生だけのビッグバンドと思いがちですが、実は紛れています、男子が1人。平岡祐太演じる男子高校生、中村拓雄です。もともと所属していた吹奏楽部には、いまいちなじめないでいた彼。でも、部員全員が腐った弁当で食中毒を起こして部が壊滅する中、ひとりだけ無傷だった拓雄は、ただの落ちこぼれだった上野樹里らを吹奏楽部にピンチヒッターとして招き入れ、さらにはジャズに目覚めさせ、彼女たちの青春に光を与えた張本人となっていきます。
女の中に男がひとり。その状況を拓雄は別に特別変なこととは思っていないようです。むしろ、同じ趣味趣向を持つ仲間と一緒に過ごせる時間を得て、輝きまくっています。そして、輝いてる拓雄は教えてくれます。女子会男子は無理に女子会に参加しているわけじゃない。女子会がたまたま自分の心地いい居場所だったから、そこにいるのだ、ということを。
(文/鬱川クリスティーン)