もやもやレビュー

動物の目線パワーはとても偉大。『ツレがうつになりまして』

ツレがうつになりまして。 スタンダード・エディション [DVD]
『ツレがうつになりまして。 スタンダード・エディション [DVD]』
宮崎あおい,堺雅人,吹越満,津田寛治,犬塚弘,梅沢富美男,大杉漣,佐々部清
キングレコード
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 動物の目に癒されます。犬、ラッコ、ペンギン、カピバラ。人でも能年玲奈ちゃんのような、一点の悪意も混じっていない純粋な目に、底知れぬパワーを感じます。本作にも、そんな目線の力を発揮している動物が登場します。

 お弁当の具材は曜日ごとにタッパーに分け、ネクタイも月~金までシールをつけて整理整頓。ものすごく生真面目なサラリーマンの夫・ツレ(堺雅人)が「うつ病」にかかったことから、奥さんのハルさん(宮崎あおい)との、二人三脚の闘病記が始まります。ただ「闘病」と言っても、本作の雰囲気はとてもコミカルです。重たい題材ながら、観ているこちら側が暗い気分にならない。そんな本作の魅力を作っているのは、漫画家であるハルさんがしたためる可愛らしいイラスト、2人が住む日本家屋の家の温かい雰囲気、そしてペットであるイグアナの「目線パワー」があったからではないかと思います。

 本作には、主に2匹の動物が登場します。一匹目は、上記したイグアナのイグちゃん。そして2匹目は、ツレが病気と向き合って回復しはじめた頃に飼うことになった、手のひらサイズのカメのチビちゃん。チビちゃんも激カワなのですが、やっぱりすごい存在感なのはイグちゃんの方。のしのしと歩く姿もさることながら、やっぱり凄いのはその目ヂカラです。イグアナの目って、まじまじと見たことありますか? 超真っ直ぐなんですよ。ほんと、なにが起きても動じないんじゃないかと思える、大黒柱的なオーラをまとっています。きっと、そんな見えない力に本作のキャラたちも支えられてたんだと思います。やっぱり、動物っていいですねぇ。

(文/伊藤匠)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム