敵を作らないという、パンダ的サバイバル術に学ぶ。『パンダフルライフ』
- 『パンダフルライフ [DVD]』
- ナレーション:菅野美穂,パンダ,毛利匡
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実は800万年も前から地球上に生息しているというパンダ。祖先は茶色い毛並みの肉食獣で、氷河期を経て現在の白黒ツートンの竹食の生き物になったらしい。・・・と、そんなような、パンダの生態にまつわる蘊蓄が学べ、そして何より黒柳徹子が100回以上「かわいい!」と言ったというパンダの愛くるしすぎる映像を死ぬほど楽しめるのが、2008年の日本製パンダドキュメンタリー映画『パンダフルライフ』。
竹しか食べないのに内臓が肉食獣だから、食べた分の2割しか消化できない。だから一日中食べてないと生きていけない。しかも食べている時間帯以外はだいたい寝てる。年に3日しか妊娠できるタイミングがない。など、無駄に生きづらくしすぎ!と突っ込みたくなるポンコツ生態も魅力のパンダ。そんな生きづらさに対して自然にバランスがとられているのか、パンダには天敵とされるような動物がいないらしく、霊長類最強の呼び声高い人間に至っては「助けてあげたい♥」︎と、せっせと繁殖を手伝う始末。
そうなんです、こんなにもポンコツなのにパンダが滅びないのは、自らに生きづらさを課す、ドMな生態があるからこそ。さらに『パンダフルライフ』を見るとはっきりわかる。彼らが人間というパトロンまで獲得できたのは、そのしぐさが人間に似ているから。まるで中に人が入っているんじゃないかと感じてしまうような動きが感情移入を誘うとともに、隣のおっさんぐらいの親近感にも繋がっています。で、ただの動物とは思えない、人間にとって特別な存在にパンダはおさまったのです。
つまり、社会の中で弱肉強食的なサバイバルをやっていく自信がないという人も、諦めてはいけないんです。パンダ的サバイバル術で生き残るという道があります。あえて自分を生きにくい状況に追い込みつつ(ドMになろう)、親近感をわかせるような同調行動を意識する。そうすることで、滅びそうで滅びない、パンダのようにナイスな生き方ができるんじゃないでしょうか。
(文/鬱川クリスティーン)