もやもやレビュー

血液が沸騰しそうになる、漢のための映画『十三人の刺客』

十三人の刺客 通常版 [DVD]
『十三人の刺客 通常版 [DVD]』
役所広司,山田孝之,伊勢谷友介,伊原剛志,松方弘樹,稲垣吾郎,市村正親,三池崇史
東宝
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 手に汗を握るとはよく言いますが、汗どころではありません。身体中の血液が波打つほどの熱量と面白さが、この『十三人の刺客』にはあります。

 江戸時代の成熟期にあたる1844年。時の将軍の腹違いの弟である明石藩主・松平斉韶(稲垣吾郎)は、権力を乱用し、民衆に対して無用意な殺生や拷問を乱発。悪政極まる暴君を暗殺するために集められた、島田新左衛門(役所広司)を頭とする13人の刺客たち。斉韶、そして周りを囲む軍勢300人の部下を撃つために、13人の精鋭は知力を絞り、命を賭して合戦へと挑みます。

 本作の魅力は、何と言っても後半に待ち構える約50分にも及ぶ合戦シーンにあります。怒号と斬音と血飛沫の中で、鬼のような気迫で敵を撃っていく刺客たち。これまでの作品でも、数多くの戦闘シーンを手がけて来た三池崇史監督の作品ということもあり、自分も合戦のさなかにいるのではないかと感じる程の、臨場感と熱量に襲われました。

 プロレスやサッカーの日本代表戦など「戦う男たち」が躍動するものに、本能レベルで熱狂してしまう方は、たくさんいると思います。本作の持つ体温上昇トリガーは、スポーツ観戦以上のものです! 血がたぎるような戦闘に、身体の芯から熱せられてみてください!

(文/伊藤匠)

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