もやもやレビュー

回収する気がまるでない伏線は仕方がないとして。『ハイ・ヒート その女諜報員』

ハイ・ヒート その女 諜報員
『ハイ・ヒート その女 諜報員』
ザック・ゴールデン,ジェームス・ピーダスン,オルガ・キュリレンコ,ドン・ジョンソン,ダイヤモンド・ダラス・ペイジ,ケイトリン・ダブルデイ,クリス・ディアマントポロス
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 主人公がシェフで元KGBの凄腕エージェントという設定、この時点でセガールやステイサムの映画を想起させる。しかし、B級映画なので規模は小さくアクションというよりコメディとなってしまう。色々とちりばめているのに回収する気がまるでない伏線は仕方がないとして、あらすじと実際の作品に大きな乖離があるのはどうかと思う。

 夫のレイとフレンチレストランを営みシェフとして店を切り盛りするアナ。ある日、夫がマフィアから多額の借金があると発覚する。マフィアは保険金狙いで凄腕の暗殺チームを送り込み抹殺しようとしていることを知り、アナはマフィアに単身挑む――というのがあらすじ。大きな乖離があると指摘したのは「凄腕の暗殺チーム」という部分で、実際は悲しいくらい瞬殺される。それならまだアナが凄腕という設定で何とかなるが、マフィアの暗殺チームさんはマッサージ師まで駆り出す始末。凄腕どころか殺し屋ですらない。

 そんな塩梅なので、アナが店に来たマフィアの使い走りは瞬殺。その後、何事もなかったかのように夫の借金にショックを受けるアナと、元KGBエージェントの過去を知ってドン引きする夫。本作のジャンルはコメディではあるが、不条理ギャグなのかしら。

 その後もマフィアのボスのドムは店の保険金目当てにちょくちょく刺客を送るがすべて返り討ちにするアナ。あまりの頻度にマフィアの殲滅を決め、元同僚で殺し屋一家のミミに連絡し手伝いを依頼する。
 一方、マフィアのボスであるドムは夫のレイに妻を説得するよう命じて身柄を解放。そしてドムが雇った傭兵部隊が店に突入する。わざわざ身柄を解放した意味は何だろう?

 店内で銃撃戦が行われ、アナは一向に引かないものの数の差で傭兵がやや有利に。そこにミミが参戦し、傭兵を次々と瞬殺していく。また、ミミの夫も狙撃で妻をフォロー。
 ドムが送り込んだ殺し屋も傭兵も全く役に立たず退場したと思ったら、今度はミミが足を洗ったアナを恨んでいるとか言い出し殴り合い。なぜかそれで和解し、アナはマフィアのボスを始末。その後、店内で仲直りするアナとレイ。

 駆け足気味に書いたので話が飛んでいる訳ではない。こんな荒唐無稽な話なのである。特に借金に呆れた妻と元スパイの経歴におののいた夫が何事もなく仲良くなれるのか?という疑問に対する説明の描写は皆無。笑顔でワインを傾けてエンドロールに至っていい話でもないような気がする。

 あとはミミの双子の娘が何か特殊能力がありそうな雰囲気を出して登場したのに作中での活躍はなし。そもそもミミが拮抗する銃撃戦をしている場面に入って1人で解決しているのだから不要だったけども......。

 伏線らしきものは度々出てくるのに全く回収されず雑な終わり方で、もう少し練ればそれなりになったのではないか?という惜しさがある映画だった。

(文/畑中雄也)

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