『ステキな金縛り』を観て、早く風邪を直そうと思った。
- 『ステキな金縛り スタンダード・エディション [DVD]』
- 深津絵里,西田敏行,阿部寛,竹内結子,浅野忠信,草なぎ剛,中井貴一,三谷幸喜
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風邪をひきました。筆者、10年くらい大きな風邪をひいていなかったのに...。10年っていうとバカって思われるかもと危惧し、サバを読んで7年ってことにして唯一の自慢にしていたのに...。理由はわかっています。いつも以上にもやもやしていたから。いや、くよくよかもしれない。12月に入ったというのに忘年会の誘いもあんまし、いやほとんどないし、改めて友達がいないなぁって...。
そんな中観たのが『ステキな金縛り』。三谷作品ですから、誰もお見舞いにきてくれない寂しさも吹き飛ぶだろうと思って。駄目弁護士、宝生エミ(深津絵里)が担当する事件の証人が、落武者幽霊の更科六兵衛(西田敏行)という法廷サスペンスコメディ。突拍子もない設定なのですが、その世界観にいつのまにか引き込まれてしまいました。
私が注目したのは、六兵衛がレストランでたくさんの料理を注文するシーンです。麻婆豆腐定食、とろけるチーズインハンバーグのセット(しかも、デミグラスソースで!! って懇願)、和風カルボナーラパスタ。でも、料理が運ばれてきても六兵衛は匂いを嗅いだり、ハンバーグセットのポタージュに息を吹きかけるだけ。「食べないの?」と問いかけるエミに対して「食べることは生きるため、ワシはすでに死んでいる。そもそもワシはこの料理に手を触れることさえできぬ。目で楽しみ、匂いを嗅いで楽しむのみ」と六兵衛。
あぁ、せつない。そうです。私は風邪で鼻が効かなくなっただけなのに、何を食べてもつまらん、などとボヤいていました。ごめん、六兵衛さん。そうだよね、食べることは生きること。血や肉となるばかりでなく、五感に響き身体を巡る。その循環が心身をつくるのです。
うん、友達がいないとかグレるのはもうやめよう(せめて年内は)。風邪が治ったら、美味しいを身体中で感じて、生きている喜びを享受しようと思います。(大袈裟!)
(文/森 亜紀子)