もやもやレビュー

『ラヂオの時間』を観て、わがままというものを理解した。

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「ちょっと昨日飲み過ぎて二日酔いだわ~つらいわ~」とか言ってくるやつが嫌いです。だったら飲まなければいいし、まずお前のコンディションは知らねえ! でもそもそもそんな話題ですら話しかけてくる人のいない自分はもっと嫌いです。

 素人のまぐれでたまたまラジオドラマのシナリオコンテストで優勝した鈴木みやこ。自分の脚本がラジオの生放送でドラマ化されることが決定し、リハーサルを見ながら期待に胸ふくらませますが、本番間近というところで、ある大物女優のどうでもいいわがままを発端にどんどん脚本が書き換えられてしまいます。次々に意味不明なわがままを言いだす俳優たち、形はどうでもいいからなんとか番組を完成させたいラジオ局のスタッフ、物語を変えられたくない脚本家とあんぽんたんなその夫などなど、登場人物全員乱れてのドタバタ劇が繰り広げられます。

 監督、脚本は『有頂天ホテル』『古畑任三郎』などで売れっ子脚本家の三谷幸喜です。もともと劇でやっていたものを映画化した作品で、三谷監督特有のごちゃごちゃとして、はちゃめちゃな展開が冴えわたっています。毎回三谷監督の作品は何かが引き金となってドタバタ劇が繰り広げられますが、今回の映画では、「役の名前が昔おとこを取られた女と同じ名前だから嫌」という大物女優のわがままではじまります。......何を言うとんねん。 もうそこからはアメリカ人の役がいいだとか、職業は弁護士がいいとか意味不明なわがままのオンパレード! この女、昔ちやほやされたからって完全に調子に乗っています! きっとここでみなさんは「何言ってんだよおまえ!」って思うでしょう! この女が嫌いになるでしょう。でもわかります。彼女の気持ち。彼女は本心でわがままを言っているのではなく、かまってほしいんです! 誰かに気にしてほしいんです! 寂しい熱帯魚なんです!
 赤ちゃんの時はみんな泣いてればかまってくれてたわけです! それを忘れられない人たちが、おかあさんを呼ぶ行為! それがわがまま! 「我がママ」です!! 何の話だよ!! まあとにかくみなさんはわがままを言っている人がいたら黙って抱きしめてあげればいいんですよ! 簡単ですよ! っていうかまず誰か俺を抱きしめてくれよ!! わがままを言っている人を許してあげたいなっていう人にはお勧めの映画です。

(文/前髪ナガレ)

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