『ザ・フライ』で恋の力はすごいと思った。
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物体を瞬間的に転送できる、いわゆる「テレポート装置」を開発した天才科学者、セス。見た感じあまりモテそうにない彼が、パーティで知り合った美人ジャーナリストを自宅兼研究所にしつこく誘う。結果、いい仲になるが、ある晩、元彼とけじめをつけるために出かけていった彼女に猛烈に嫉妬します。そして、酔いにまかせて自分の体でテレポート実験をするという話。実験の結果、彼はハエ男になってしまいます。
恋って、恐ろしいです。天才科学者にすら心の隙が生まれ、人生を左右するほどの事故を起こさせてしまうのですから。ここまでの大事故とまではいかずとも、恋は人生を変にしたり、無数の黒歴史を生み出します。しかし、恋をしてるからこそ、思ってもみなかった世界の扉が開かれることもあるのです。
例えばハエ男に変化してしまったという出来事は、悲劇である一方で、ハエ男という新しい生命体が誕生した奇跡と見ることもできます。これはやはり、恋の作用と言えるでしょう。テレポート装置を完成させて有名になるよりも、ずっと有意義な体験であったに違いありません。
恋によって判断力が鈍り、思いもしない衝動に駆られること。実はそう悪いことでもないのかもしれません。それにつけても恋がしたい......。
(文/根本美保子)