第12回 『ヘルタースケルター』再考。美しさという「煩悩」をめぐって
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どーもどーも。先日は、下北沢のブックカフェB&Bで、トークショーを行いました。ご出席者の方々、誠にありがとうございます。次回また機会があれば、「地獄と悪行」をテーマにスパークしたいと思います。
さて、最近、女性の読者から「美しい自分を目指すのは、煩悩なんですか」という質問を受けました。
答えは、簡単です。それは「煩悩」でございます。
かの有名な聖徳太子様は「世間仮虚」(せけんこけ)という名コピーを残されていらっしゃいます。世の中のすべては仮の姿であり、本当の姿などあり得ない、というご意見であります。
仏教の言葉で言えば、この世は「空」。すべてのものは、たまたま縁が結びついて、架空の姿としてこのセカイに立ち現れているだけです。いまの自分もたまたまいろんな条件や要素が寄り集まってできた仮の姿にほかなりません。
こんな仮の姿に、執着すると、人はいったいどうなってしまうんですかねー。
その答えが、『ヘルタースケルター』の主人公・スーパーモデルのりりこにあります。
「眼と爪と耳とあそこ」以外はすべて整形の作り物であるりりこは、その美しさを維持するために、美容整形を繰り返します。結果、最後はフリークスのような姿になってしまうワケです。
カラダがボロボロになったのは、不幸としか言えませんが、もっと恐ろしいのは、りりこの心の煩悩です。彼女は孤独で絶望的な危機感に追いつめられて整形を繰り返します。これ、みなさんも笑い事ではないですよ。
彼女の場合、美容整形だったワケですが、あなたも似たようなことをやっていませんか。
例えば、リボ払いでブランドものを買うのがとまらない、好きでもない彼氏とのセックスに溺れて抜けられない、他人の悪口がおもしろくてやめられない、ジブン語りがとまらなく飲み会の帰りに自己嫌悪を繰り返す・・・など、中毒・依存状態で苦しくなっていませんか。
りりこの例は極端ですが、ご自身にも似たようなところがあると感じる人は要注意です。
冒頭で、すべてはマボロシ、仮の姿であると申しましたが、そういうマボロシに情熱を傾けることはきわめて危険でございます。なにしろ、実体がないものにエネルギーを注いでも、行き着く先がマボロシですから、行き場に迷って迷子になってしまいます。心の迷子がこじれるとお医者さんに相談しなくてはなりませんよ。
あなたがいま、依存しているものは、ほんとうに情熱を注いでよいものですか、あなたはゴールを見失ってませんか。もしそうだとすれば、あなたは病に冒されつつあります。このことについては、拙著『ロックンロール般若心経』にも解決法を記しておきました。それでも不安な方はどうぞ、ホームページやツイッターに遊びにきてくださいね。私自身もマボロシに振り回されるあわれな凡人ですがね。