連載
怪獣酋長・天野ミチヒロの「幻の映画を観た!怪獣怪人大集合」

第65回 『ドッグ』

ドッグ perfect edition [Blu-ray]
『ドッグ perfect edition [Blu-ray]』
KADOKAWA / 角川書店
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 ここ数年は空前の猫ブームだが、2018年は戌年。そこで新年の挨拶代わりに、犬を題材にした動物パニック映画をお届けしよう。

 1975年にユニヴァーサルの『ジョーズ』が世界的な大ヒットを記録すると、クマ・タコ・ピラニア・ワニ・シャチ・クモ・ハチ・アリ・ゴカイ・オニカマス(笑)と、他社はありとあらゆる動物で便乗した。大手コロムビア映画も例外ではなく、『ジョーズ』に対抗して作ったのが今回紹介する『犬』だ。

 公開前に配られるチラシによると、「犬達の取り扱いは、その道の専門家の厳重な監視下に置かれたが、それでもドッグ・トレーナーを始め8名のスタッフが重傷を負い、ロケ地の病院には常に患者の出入りが絶えなかった」だそうだ。よくホラー映画で使う「撮影中に謎の事故で負傷者続出......」といったアノ手口か?

 そしてキャッチコピーは、「驚くべきラスト・シーン。これは、科学的根拠に基づいて作られた『グリズリー』に続く戦慄すべきパニック・スリラーだ」。『グリズリー』とは、『ジョーズ』直後に製作された巨大熊(背丈6メートルって......)の作品の事。『犬』は2014年に初のDVD&ブルーレイディスクが発売されていて、このあと「驚くべきラスト・シーン」までストーリーを紹介するので、初めて作品を観る人にはネタバレ注意だ。


 南カリフォルニア州サンディエゴ郊外にある、サウスウエスタン大学を中心とした学園都市。学長のプール付き豪邸では、新年度の新任教授歓迎パーティーが開かれている。生物学のハーラン教授を演じるのは、人気テレビドラマ『ナポレオン・ソロ』の主役でブレイク中のデヴィッド・マッカラム。文学部教授でガールフレンドのキャロライン(サンドラ・マッケーブ)も参加している。ハーランと新任のマイケル教授(ジョージ・ウィナー)が挨拶を交わすと、お互いが才能を認め合いよきライバルとなっていく。

 パーティー会場に、地元の牧場主が「また牛が殺された。これで4頭めだ」とやって来る。ハーランが現場に着くと、内臓をぶちまけズタズタになった牛の死骸。ハーランは「歯型の大きさがマチマチ。食い荒らされていない」と不審に思う。その夜、銃を持ち夜通し見張っていた牧場主が、首輪を付けたドーベルマンとシェパードに咬み殺される。

 続いて犬の群れはバイクに乗っている大学生を襲う。小型犬から大型犬まで、みな首輪をしている。騒ぎを聞いて家から出てきたバアサンとペットのチビ犬。バアサンは「シッシッ」と大学生に群がる犬を追い払おうとするが、なんと自分の犬まで咬み付きに参加(笑)。「オーマイガ!」と仰天しているバアサンに大型犬が跳びかかる。

 翌日ハーランは、土地にコヨーテも狼も生存していない事、大きさの違う無数の咬み痕、牛や人間の死体を食べていない事などから、犯人を飼い犬と推理。マイケルの「飼い犬も群れを成すと人を襲う」という学説を肯定する。

 その頃、町ではドッグ・コンテストの真っ最中。各家庭の子供が飼い犬に命令して躾や芸を見せるという、ほのぼのとした品評会だ。だが突然1匹の大型犬が子供の命令を聞かずに牙を剥いて吠え出す。すると他の犬達も一斉に吠え始め、危険を察した担当女性が子供らを犬から離れさせ、「走って!」。いや、走らせたらダメでしょ(笑)。当然、犬達は走る子供らを追いかけ、楽しかった会場は修羅場と化す。幸い死者は出ず軽傷者だけで済み、犬の群れは丘へ向かう。今まで犬達は、夜になると家を抜け出しては集まり、牛や人を襲っていたのだ。完全に暴徒化した犬達は、もはや飼い主の下へ帰る事はなかった。保安官を含む山狩りの4名、シャワー中の女性教授、警官と、住民が次々と犠牲になっていく。

 非常事態を悟ったハーランは、保安官事務所で机の上に無造作に立てかけてあるライフル、鍵の掛かっていない引き出しから弾丸を持ち出し(無防備すぎ!)、夜の町へ出る。まもなく自宅前で自分の飼い犬に襲われている学長を発見。2人を見て学長が「撃ち殺せ!」。そこでマイケルが撃つと学長に命中(即死)! 仕方ない。腕のよい刑事だって揉み合っている犬と人間を撃ち分けるのは無理。プールには夫人の死体がプカプカ......。

 マイケルは学生寮にいた学生達を図書館に避難させる。施錠された大ガラス玄関前にズラリとお座りしている犬軍団。そこへ、腹が減って1人食堂へ行っていたデブチンがノコノコやって来て「開けてくれ~!」。「危ない~!」と館内で仲間達が呆気にとられていると、人間大の大型犬がデブチンに飛び付き、推定総重量140キロの重みでガラスドアが「ガシャーン!」。割れたドアから侵入してくる犬軍団。外で見ていたマイケルは成す術なく、その場から逃げる。数十分後、静寂した図書館内には、ズタズタに咬み裂かれた学生達の血まみれ死体がゴロゴロ転がっている。
 やがて夜が明け、キャロライン宅の駐車場に閉じこもっていたハーラン達は、何とか車で脱出する。途中、道端に転がっている保安官とマイケルの死体(合掌)を発見。カーラジオがニュースを伝える。「カリフォルニア州で飼い犬が人間を襲う事件が続発しています。ペットのいる家庭は注意してください。現在のところ、危険な動物は犬だけです」。車が通り過ぎたあとに猫が「にゃあ~」と鳴いて完


 すみません、大したラストじゃなかったね(笑)。でも当時は、こういうラストもそれなりに衝撃的だったのだ。ちなみに日本未公開でソフトも発売されていないので、ほとんど知られていないが、1969年にユニヴァーサル社は『猫』を製作している。そちらも是非ソフト化希望!

(文/天野ミチヒロ)

dogs_vhs.jpg

公開当時のパンフレット(※筆者私物)

『ドッグ』
1977年・アメリカ・90分
監督/バート・ブリンカーロフ
脚本/オブライアン・トーマリン
出演/デヴィッド・マッカラム、ジョージ・ウィナー、サンドラ・マッケーブほか
原題『DOGS』

47824.jpg

公開当時のパンフレットより(※筆者私物)

47825.jpg

公開当時のパンフレットより(※筆者私物)

« 前の記事「怪獣酋長・天野ミチヒロの「幻の映画を観た!怪獣怪人大集合」」記事一覧次の記事 »

天野ミチヒロ

1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイトネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物(UMA)案内』(笠倉出版)など。
世界の不思議やびっくりニュースを配信するWEBサイト『TOCANA(トカナ)』で封印映画コラムを連載中!

BOOKSTAND 映画部!

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム