気軽な略盆点前で月を愛でる茶会を開きましょう

撮影:宮村政徳
空気の澄んだ秋の空に浮かぶ月は、「竹取物語」に代表されるように日本のさまざまな物語に登場し、多くの詩歌にも詠まれてきました。また、日本画にも秋草や芒、雁などと取り合わせて描かれています。日本では秋の月を愛でる風習が古くからあったといえるでしょう。
芒を飾り、月見団子や里芋を供えて満月を眺める十五夜(旧暦八月十五日)は、中秋の名月、芋名月とも呼ばれます。一方、十三夜(旧暦九月十三日)は、枝豆や栗を供えることから後(のち)の月、栗名月、豆名月とも呼ばれ、そこには豊かな実りの秋への喜びが感じられます。
爽やかな秋の夜、家族や親しい友人と月を愛でる茶会というのも風流です。

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■略盆点前

いつでもどこでも誰とでも気軽に楽しめるのが略盆点前です。道具もあまりこだわらず、旅先で手に入れた品や、友人からの贈り物などを見立てても楽しいでしょう。主客が持ち寄ると会話もはずみます。
気軽な会ですが、お盆の上を清浄な場所として、点前に用いる道具を清め展開させることにより、屋外でもお茶の世界を広げることができます。
食事の後などに、リビングルームのテーブルにお盆とポットと建水を置いてお茶を点て、客に振る舞ったり、旅先での略盆点前も楽しいものです。ホテルでティーポットやトレイを借りての点前はしゃれていますし、海外の長距離列車の中でその国で買い求めたクッキーやチョコレートをお菓子にした一服なども、思い出深いものになるでしょう。
■『NHK趣味どきっ! 茶の湯 武者小路千家 残暑から初秋を楽しむ茶会』より

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