真珠庵の「唐納豆」 こだわりはフランスの塩!

発酵後、一度室野外に出してへらでかくはんし、均一な発酵を促す。 撮影:平岡雅之
京都・大徳寺内にある真珠庵(しんじゅあん)の和尚様が手塩にかけて作るのは、その名も「唐納豆(からなっとう)」。あの一休さんから脈々と受け継がれ、伝え続けられてきました。門前では大徳寺納豆として名物となっています。

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宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)禅師が正和(しょうわ)4(1315)年、洛北に小堂をひらいたのが大徳寺の始まりと言われます。花園(はなぞの)上皇や後醍醐(ごだいご)天皇から厚遇されて栄えましたが、後に応仁(おうにん)の乱で焼失しています。これを復興したのが、晩年の一休宗純(いっきゅうそうじゅん)禅師でした。
「一休さんの一般の信者さん、いわゆる俗弟子に、堺の商人で尾和宗臨(おわそうりん)という方がいました。貿易で財をなした人物で、この宗臨さんが大徳寺の復興に全財産をつぎ込んで、一休さんを支援してくれたんですね」
と語るのは、大徳寺内の一休さんを開祖とする塔頭(たっちゅう)「真珠庵」の住職、山田宗正(やまだ・そうしょう)さん。
「納豆の製法も、宗臨さんが明(みん)から持ち帰ってきたようです。この時代は戦乱に明け暮れ、疫病や飢饉(ききん)とたいへんな時代でしたから、今のようにお酒のつまみにいい、なんて言っているどころではなくて、救荒食だったと思います。大豆の良質なたんぱく質と塩と生きた納豆菌とで栄養価も高いし、発酵食品で体によくて日もちもする。真珠庵の前任住職であるわたしの師匠も、外国に出かけるときには必ず持って行って、薬代わりに食べていました」
一休さんも、これは人々のためになる! と、普及に努めたのではないかと山田住職は推測されています。

■和尚様の唐納豆 ずばり、こだわりは?

山田住職の唐納豆の作り方をお聞きしました。
「12歳で小僧に来て50年。最初は師匠に教わりながら手伝って、高校生くらいになったら自分でできるようになりました。自分でやるようになってから、塩をいろいろと試してみるようになりました。最初は国産の塩を使っていたけれど、今はフランスのゲランドの海の塩がいちばんいいと思って、これを使っています」
和尚様、あまり原価計算はされていないような……。
「確かにねえ」
和食もフレンチも、知り合いの料理人の方々がみな欲しがるとか。それはよくわかります。今年は4斗仕込んだとおっしゃる唐納豆。
「今は趣味に近い感じで作っています。いや、サービス精神かも(笑)」
■『NHK趣味どきっ! 三都・門前ぐるめぐり』より

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