美人漫画家・まんしゅうきつこさんが明かす「まんしゅう家」のお話

まんしゅう家の憂鬱
『まんしゅう家の憂鬱』
まんしゅう きつこ
集英社
1,188円(税込)
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 12月4日に、自身のブログや「小説すばる」での連載エッセイを収録した書籍『まんしゅう家の憂鬱』を発表した漫画家・まんしゅうきつこさん。ペンネームの強烈な印象に反し、その美貌でも注目されています。

 今回は、そんなまんしゅうさんの"ルーツ"に迫るべく、まんしゅうさんを育んだ家庭環境についてお聞きしました。まんしゅうさんにとって、家族とはどのような存在だったのでしょうか?

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――今回の書籍は主にブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」が元になっていますが、そもそもブログはどのような経緯で開設されたのですか?

 漫画家の清野とおるさんと弟と3人で飲みに行ったときに、ふたりからブログを始めることを進められました。もともと、「自分の半径5mにいる友達を笑わせたい」というバカッター感覚の思い付きで、また、パートに出るよりは稼げるんじゃないかなって感覚で始めたことなんです。それが、「まんしゅうきつこ」というペンネームのインパクトで、ネットニュースに取り上げられ、予想以上の反響をいただき......。

――名前がすごすぎますからね。まんしゅうさんが育った家庭環境についてお話を伺いたいのですが。

 そうですね...。父が少し変わっているかもしれません。

――えっ?

 うちの母親がはじめて父を見たときは、どういうわけか電柱にのぼってたらしいんですよ。当時、母は喫茶店で働いていたんですが、その店の窓から、電柱にのぼっている気持ち悪い男がいて、しばらくしたら、電柱にのぼっていたその気持ち悪い男がよくお店に現れるようになったと。まぁ、そんな馴れ初めだったそうで。


――す、すごいですね......。 

 それに輪をかけて変なのが弟です。とにかく徹底的に自分の人生と向き合って......というと聞こえはいいですが、なんかずっと無意味に自分と戦ってるんですよね。一人で東京の杉並区から大阪まで歩いていこうとしたりとか、どんな猛暑でもエアコンつけないとか。仕事はカメラマンをやってるですが、彼は夏の酷暑の日、車の窓を閉めきってエアコンもかけずに現場まで行くんですよ。車内の温度50度とか60度とかになるんですけど、現場に着いて窓を開けた瞬間、邪念が燃え尽きている気がするんですって。苦痛のマックスを上げておくと普通の状態がラクになると言ってます。

――そんなカメラマンの弟さんが週刊誌の企画で、まんしゅうさんの水着グラビアを撮影されましたね。

 あれはねぇ......カカシに顔面騎乗している写真とか、本当は載せたくなかったんです。実家で写真のチェックをしていたとき、母親があの写真を見て「これだけは世に出さないでほしい」ってお願いされて、私も泣いて掲載に反対したんですよ。

――でも載っちゃいましたよね。

 そう。掲載直前に、担当者に直接電話して「あの写真だけは載せないでください」って懇願したら、その話が終らないうちに、横から弟が電話を奪い取って「載せてください!」ってガチャ切りしてしまい、あのまま掲載されてしまったんですよ。結果として、あの写真が2ちゃんねる上に出回るという二次被害まで......。

――そんな裏話があったんですね。

 それに弟、口が悪いんですよ。最近は、私と顔合わせるたびに「お前どんどんブスになっていくな」とか言ってくる。あまりにブスブス言うものだから、「もうこれ以上ブスって言わないで!」って、泣きながら家を飛び出したこともあります。その夜は漫画喫茶で一晩を明かし、漫画40冊くらい読破しました。ちなみに、一週間くらい前の話です。

――直近の話じゃないですか。最後に、まんしゅうさんにとって、家族とはどんな存在ですか?

 それは、こっちが聞きたいくらいです。


【プロフィール】
まんしゅうきつこ
1975年生まれ、埼玉県熊谷市出身。"自分の半径5mにいる友達を笑わせたい"と思って始めたブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」が注目を集め、ペンネームの強烈なインパクトと相まって、一躍有名に。近著に、『アル中ワンダーランド』(扶桑社)、『ハルモヤさん』(新潮社)がある。 



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