教育のカリスマが選ぶ"究極の課題図書"はミヒャエル・エンデの『モモ』と伊集院静のあの作品

 先月、実施された「今、本当に小学生に読んでもらいたい本」大賞。文部科学省推薦の夏休みの課題図書とは一味も二味も違う本を選ぶことを目的に、中学受験のトップランナーである、5人のカリスマ塾講師&教育のプロに選考委員となっていただき、受賞作を決めたBOOKSTAND編集部オリジナル企画です。

 各先生が『今、小学生に本当に読んでもらいたい』と持ち寄った本は、大人もクラクラする古典の名作『ソクラテスの弁明』から、今話題のノンフィクション『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』まで、実に多様な作品が集まりました。

 選考レースでは、手塚治虫さんの漫画『火の鳥』、「ドンデン返し」が魅力のSF作家・星新一さんの一連の作品、入試問題では定番の重松清さんの作品などに高い評価が集まりましたが、最終的には、女子生徒向けにミヒャエル・エンデ作『モモ』、男子生徒向けに伊集院静作『雨あがり』(短編集『冬のはなびら』に収録)に決定。男の子と女の子での、読書傾向の違いも配慮し、2冊同時受賞となりました。

 無頼派のイメージが強い伊集院さんですが、受賞作『雨あがり』は、伝統工芸の世界における師弟関係をテーマに描く名著。名門指導会代表/塾ソムリエの西村則康さんは「目の前の受験に向けて、速攻的な学習をしている受験生にこそ、読んでほしい作品。もっとどっしり腰を落ち着けて、なんでもいいから頑張ってごらんという励ましになる作品です」と同作を絶賛。また、理数系専門塾エルカミノ 代表の村上綾一さんも「最近失われつつある師弟関係にクローズアップしていて、今の小学生に、特に男の子には読んでほしい」とコメントを寄せています。

 もう1つの受賞作『モモ』は、今年没後20年を迎える児童文学作家、ミヒャエル・エンデによるファンタジーの金字塔。中学受験専門個別指導教室SS-1代表の小川大介さんは「大人側のあざとさも出ているし、大人が子どもに求める"子どもらしさ"も描かれている。さまざまなものを包含していて、じっくり読める本」と評価しているほか、前出・村上さんも「小学高学年なら充分読める作品ですし、大人が子どもにどんなことを強要しているかわかるので、ぜひ読んでほしい」と推薦しています。

 2冊決定に至るまでの選考会のもようは、以下の関連リンクからチェックしてください。

【関連リンク】
カリスマ塾講師&教育のプロが薦める「今、本当に小学生に読んでもらいたい本」大賞
【前編】
http://bookstand.webdoku.jp/special/teachers-recommend2015-01.html
【後編】
http://bookstand.webdoku.jp/special/teachers-recommend2015-02.html

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