本屋大賞受賞作『鹿の王』の"ルーツ"は、綾瀬はるか主演でドラマ化も決定の『精霊の守り人』

三人寄れば、物語のことを
『三人寄れば、物語のことを』
上橋菜穂子,荻原規子,佐藤多佳子
青土社
1,512円(税込)
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 4月7日、『鹿の王 (上)生き残った者 (下)還って行く者』(KADOKAWA刊)で、全国の書店員が「いちばん売りたい本」を選ぶ「本屋大賞2015」の大賞を受賞した上橋菜穂子さん。

 本屋大賞受賞作『鹿の王』は、帝国に抗った戦士団の生き残りで、謎の感染症に罹患しながらも生き延びた男・ヴァンと、病の解明に乗り出す医術師・ホッサルを中心に描く壮大なファンタジー大作。主人公のヴァンは、もう1人の生き残りの少女・ユナと出会い、血のつながりこそないものの、2人は親子のような固い絆で結ばれます。物語のラストでは、愛する人を守ろうと果敢に行動するヴァンの生き様に、胸を打たれた読者も多いことでしょう。

 上橋さんの児童文学作家としての地位を不動のものにしたのが、代表作『精霊の守り人』に始まる11巻にも及ぶ大長編<守り人>シリーズ。シリーズ第1作『精霊の守り人』は、30歳の女用心棒・バルサが、ひょんなことから出会った少年・チャグムを守り抜く物語。同シリーズは、2016年にNHKでドラマ化されることも決定、凄腕の女用心棒・バルサを綾瀬はるかさんが演じることも発表されています。

 実は、この<守り人>シリーズは、受賞作『鹿の王』主人公ヴァンとユナのルーツとも言える作品です。

 上橋さん自身、ユーキャンが運営するキュレーションサイト「マナトピ」でのインタビューで、同シリーズについてこう語っています。
「ヴァンとユナの関係は、<守り人>シリーズの女用心棒・バルサと、彼女が守る皇子、チャグムとの関係に近いかもしれません。大人が子供の主人公を守って戦う、という意味ではなくて、ユナやチャグムは、物語を引っ張る原動力です。ヴァンにしろ、バルサにしろ、彼らが動いていくからこそ、一緒に動いていく。この関係性は、バルサの師であり養い親のジグロと、少女時代のバルサにも当てはまる、私はそういう関係性が好きなのかも」

 バルサが自分自身の過去と対峙する第2作目『闇の守り人』では、少女時代のバルサと、育ての親の武人・ジグロとの絆が描かれます。上橋さんによれば、同シリーズでは、子供の読者から一番人気があるのは第1作『精霊の守り人』ですが、大人の読者から1番人気があるのが第2作『闇の守り人』なのだとか。『闇の守り人』にはハードボイルドな剣豪小説のような趣もあり、深淵な心理描写で心を鷲掴みにされた大人の読者が続出しました。故郷を捨て、命を危険にさらしながら、旅を続けるジグロとバルサの姿は、まさに『鹿の王』ヴァンとユナの原型と言えるでしょう。

 作家陣にも同シリーズのファンは多く、本書『三人寄れば、物語のことを』の中で、第4回本屋大賞受賞者でもある作家・佐藤多佳子さん、『空色勾玉』シリーズの作家・荻原規子さんという、上橋さんとプライベートでも親交のある作家たちも『闇の守り人』を絶賛。上橋さんをはじめ同世代の作家3人の鼎談をまとめた本書は、それぞれの作品観や知られざるエピソードも満載の1冊となっています。

 本屋大賞受賞作『鹿の王』から上橋ワールドに足を踏み入れた方は、荻原さん、佐藤さん、というプロの書き手たちも魅了する『闇の守り人』から手に取ってみてはいかがでしょうか。

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