福岡の焼き鳥屋がキャベツ無料食べ放題のナゾ はじまりは中洲だった?
- 『日本一の秘書―サービスの達人たち (新潮新書 411)』
- 野地 秩嘉
- 新潮社
- 756円(税込)
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ご当地グルメの雄・福岡。辛子明太子、豚骨ラーメン、もつ鍋など全国的に有名なものが多いですが、実は焼き鳥も福岡を代表する食べ物なのをご存知でしょうか? 福岡市内の焼き鳥店の総数は660軒で、人口10万人あたりの店舗数は43.7軒にも及び、東京と全国20の政令都市の中で堂々の1位なのです。
そんな焼き鳥大国の福岡ですが、焼き鳥店のサービスも独特。お店で焼き鳥を頼むと、大皿に盛られた生のキャベツにポン酢ダレがかかったものが無料で提供されます。しかも、お替わり自由。一体どうして、福岡でだけこのような太っ腹なキャベツサービスが生まれたのでしょうか。
本書『日本一の秘書 サービスの達人たち』によれば、実は、このサービスを最初に始めたのは、福岡市の繁華街・中洲にある「天下の焼鳥 信秀本店」の主人、安岡英雄さん。25歳で脱サラし、屋台を始めることを決めたものの、九州男児だった安岡さんはその時まで料理経験ゼロの素人。中洲の屋台でカウンター越しに調理方法を盗み見ては、1人で練習する日々だったそうです。
屋台を始めて間もないころ、安岡さんが思いついたのが、このキャベツサービス。きっかけは、安岡さんがサラリーマン時代に、大阪出張で訪れたお好み焼き屋さんのお通しで出てきた生キャベツと味噌でした。その味を思い出した安岡さんが、自分の店で、味噌の代わりにポン酢ダレをかけて提供し始めたのです。
福岡と言えば、"支店経済"と言われるように、東京をはじめ大都市圏からの単身赴任者が多い都市であり、1人暮らしの男性は、普段の食事で野菜が不足しがち。そのため、このキャベツサービスは大ヒット。お店は生野菜を求める男性客で連日大盛況、瞬く間に同サービスは中洲の"定番"となり、福岡から九州北部を中心に、広く普及したのです。
九州の焼き鳥業界に革新をもたらした安岡さん以外にも、本書では、日本全国津々浦々のほとんど無名の"サービスの達人たち"をご紹介。「カレーハウスCoCo壱番屋」創業者、宗次徳二さんの秘書で、"日本一の社長秘書"とまで言われた中村由美さんや、秋田県のご当地ヒーロー「超神ネイガー」の生みの親・海老名保さんなど、さまざまな業界のサービスの達人たちの素顔に迫った一冊となっています。
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- 鶏肉の購入量・支出金額と焼き鳥店の数 -
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