都内に混浴温泉が少ないのはあのアメリカ人のせい?
- 『混浴と日本史 (単行本)』
- 下川耿史
- 筑摩書房
- 2,052円(税込)
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日本に温泉は多数ありますが、その中で混浴というのは意外に少ないもの。特に都内ではほとんどないのが現状です。しかし、一昔前、江戸時代頃までは江戸でも男女混浴が多く、地方の温泉ではそれこそ自然なことだったそうです。それが、なぜ男女別が当たり前になってしまったのでしょうか。
その変化のきっかけについては、下川耿史(こうし)氏の『混浴と日本史』に詳しく書かれています。
「変化の火付け役となったのは『ペリー艦隊日本遠征記』という本であった。これはペリー提督が帰国後、政府に提出した報告書で、全三巻、各巻400ページ以上という膨大なものだが、その中に混浴の風習を罵倒する一節があったのだ」
その一節というのが、次のようなもの。
「『住民はいずれも日本人特有の礼儀正しさと、控えめだが愛想をそなえている。(しかし)裸でも気にせず男女混浴している公衆浴場を目のあたりにすると、アメリカ人には住民の道徳性について、さほど良い印象は持てないだろう。これは日本全体に見られる習慣ではないかもしれないし、実際、われわれが親しくしていた日本人もそうではないと言っていた。しかし、日本の下層階級の人々は、たいていの東洋諸国民より道徳心が高いにも関わらず、淫らであるのは間違いない』」
書籍によると「これが引き金になって混浴が日本の下品さ、猥褻さの証しとする旅行記がどっと出回った」とのこと。他の外国人の旅行記でも「嫌悪すべき不道徳な習慣」「私が見聞した異教徒諸国の中では、この国が一番淫ら」などひどい書かれようだった様子。そしてこれを受けて、明治に入ってから新政府が「混浴禁止令」が施行。特に東京では厳しく取り締まられたようです。
そんな混浴が再び認められたのは明治維新が過ぎ、来日する外国人が増えてからのこと。来日した海外の考古学者や画家らが、混浴を「牧歌的素朴さが漂っている」「大衆は子どものように天真爛漫で、妥当な新しい道徳通念を持っている」と評価。段々と混浴は「特異な文化」として興味の対象になっていきました。またそれ以降も、地方で観光という言葉が広がった影響で、禁止令がしかれたなかでも様々な混浴温泉が生まれたそうです。外国人の影響で衰退した混浴は、再び外国人をきっかけに息を吹き返したんですね。
「牧歌的素朴さ」という言葉がありましたが、確かに混浴温泉は夫婦や家族で羽を伸ばすのにはぴったりのスポット。実は温泉宿泊予約サイト「ゆこゆこ」の調査によると、年に3回以上国内旅行に行く夫婦は、夫婦関係の満足度が高いという結果も明らかになっています。あたたかい温泉が恋しくなるこれからの季節、混浴温泉巡りをしてみるのもいいかもしれません。
【関連リンク】
混浴を楽しめる宿(ゆこゆこネット)
http://www.yukoyuko.net/special/dir/name/s_konyoku
シニア夫婦に関する調査 夫婦円満の秘訣は"年3回以上の旅行"!?(ゆこゆこ調べ)
https://www.yukoyuko.co.jp/release/1294/