大企業で相次ぐ「追い出し部屋」 悪いのは会社?社員?
- 『稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方』
- 大前 研一
- 小学館
- 1,512円(税込)
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社員や職員を、自己都合退職に追い込むために配属させる「追い出し部屋」。戦力外となった社員や、希望退職を断った社員に、まともな仕事を与えなかったり、単純労働を強いる部署に異動させ、自主退職を選ばざるを得なくさせるための部署のことです。
昨今では、メーカーやIT企業などの誰もが知るような大企業でも「追い出し部屋」が設置されたと報道されるようになりました。企業はその事実を否定しますが、実際に不当な解雇や嫌がらせ行為があったとすれば、これは大きな問題です。また、多くの経済紙をはじめとするマスコミの報道では、「今後は平均的な社員も追い出し部屋行きの対象になる」と危機感を煽っています。
そんな「追い出し部屋」について、経営コンサルタント・起業家の大前研一氏は、書籍『稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方』のなかで持論を展開しています。
「仕事というものは自分で見つけて、自分なりのやり方に変えていくもの」と考えている大前氏にとって、仕事で「平均点」を出すということは、"昨日と同じ成績"を残すということ。
最初のうちは、上司からの指示で前任者のやり方を踏襲しつつ、「A」の仕事をやる必要がありますが、その後は仕事の効率を上げ、前任者を超える「B」というアイデアを創造しなければならないというのが、大前氏の考えです。
毎日同じ成績で平均点ばかり続けていると、必ずと言って良いほど、会社の売り上げは下がります。なぜならば、同業他社や異業態のライバル企業が参入し始め、顧客を奪われてしまうからです。
もし、"平均的な仕事"しかしない社員ばかりが集まれば、業績は悪化し、事業や会社の縮小化も現実的となっていきます。
「自分は今、会社に利益をもたらしているのか? もたらしていないとすれば、どうやって稼げばいいのか? 新たな仕事を提案すべきではないか? そういった問題意識を、一人一人が持たなくてはならない。『追い出し部屋』の是非以前に、そんな基本的なことすら社員に教育できていなかった会社だからこそ、今頃になって『追い出し部屋』なるものを作らざるを得なくなっている──そう考えるほうが正しいのだ」(大前氏)
平均点しか狙わない社員、社員を教育できなかった会社。「追い出し部屋」の設立には、根深い理由があるのです。会社が業績不振となる前に、問題と成りうる箇所を早期に発見し、改善することが、ますます重要になってくることでしょう。