デビュー作が大賞なるか? 第10回本屋大賞ノミネート作品『世界から猫が消えたなら』

世界から猫が消えたなら
『世界から猫が消えたなら』
川村 元気
マガジンハウス
1,512円(税込)
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 全国の書店員さんの投票によって選ばれる「本屋大賞」は今年で10回目を迎えます。そんな記念すべき今年度のノミネート作品が1月21日に発表されました。2013年の直木賞の候補にもなった西加奈子さんの『ふくわらい』や2010年の本屋大賞第2位に選ばれた窪美澄さんの最新作『晴天の迷いクジラ』など11作品。

 さすが書店員の目利きがきいたラインナップですが、中でも注目なのは川村元気さんの『世界から猫が消えたなら』。川村さんは『告白』や『悪人』、『モテキ』など数々の人気小説や漫画を映画化してヒットを生み出してきた映画プロデューサーで、小説家としてのデビュー作がこの『世界から猫が消えたなら』。

 言葉を映像にしてきた川村さんだからこそ、本書は小説にしかできないことに挑戦したそうです。それは、この『世界から猫が消えたなら』というタイトルにも反映されています。もしかすると、猫に馴染みがない人にとっては世界から猫が消えても何の影響もないかもしれません。ですが、猫を飼っている人は猫が消えたあとの世界にはどんな悲しみが待っているのか...と、このタイトルを見て思わず考えてしまいます。

 「小説の場合"世界から猫が消えた"と書くだけで、読者がその世界観を想像して創ってくれます。でも、それを映像で表現するのはかなり難しい。でも小説の魅力って、そういう読者との共犯関係にあると思います」と川村さん。

 確かに、小説は言葉だけで表現するため、映画よりも受け手の感じ方は多様かもしれません。そこに面白味を感じた川村さんが書いた本作品には、感情移入してしまうほど引き込まれるものがあります。

 今回の本屋大賞のノミネート作品にはベテランや人気作家のものが多く、処女作がノミネートされた川村さんは挑戦者。はたしてデビュー作が大賞となるのか、要注目です。

 第10回「本屋大賞」は、書店員による2次投票の締め切りが2月28日、大賞は4月9日に発表されます。

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