グーグルばかりやっているとバカになる!?

のめりこませる技術 ─誰が物語を操るのか
『のめりこませる技術 ─誰が物語を操るのか』
フランク・ローズ
フィルムアート社
2,376円(税込)
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 シャープが国産第1号のテレビTV3-14Tを発売したのは1953年の1月。2013年は国産のテレビがこの世に出て60周年の年です。当時の販売価格は175000円。お米10キロが680円だったこの時代からすると、テレビは信じられないほど高価な代物でした。

 こうして国民の憧れ、経済成長のシンボルとして登場したテレビでしたが、2012年11月に行われたYahoo!ニュースの「意識調査」コーナーにて「テレビ番組の視聴時間は変わった?」というアンケートが実施された結果、78パーセントもの人が"視聴時間が減った"と回答しています。その代わりに近年急増しているのがネットやスマホアプリの使用時間。テレビよりもネットを情報源にしている人々は今後も増え続けるでしょう。

 2008年、Harvard Business Review元編集責任者であるニコラス・カー氏がアメリカの雑誌「月刊アトランティック」に寄稿したエッセイのタイトルは、「グーグルのせいで私たちは馬鹿になるのか?」だったと書籍『のめり込めせる技術』のなかで紹介されています。カー氏によれば、ネットでのハイパーリンクのサーフィンは情報の表面を滑っているだけで、考える力が失われるのだといいます。電子メディアが読書の習慣や思考の方法を変えてしまったという事実をカー氏は危惧しているのです。

 しかし、ワイアード誌の編集者であるフランク・ローズ氏は同書の中で次のように語ります。

 「昔から新しい情報技術が導入されるたびに、人類は同じような心配を繰り返してきた。ソクラテスすら、本を読むと忘れっぽくなると文句を言ったのだ。ソクラテスが理解していなかったのは、本を読んだ方がはるかに多くの記憶を蓄えられるようになること。だから人類は、2400年前に賢人が"本を読むと馬鹿になる"と言ったときに本を捨てはしなかったのだ」

 これは、グーグルも例外ではないのだとか。情報のありかたは常に変貌しており、そのなかで情報媒体を有効活用し知識を蓄えていくために、本書で情報のあり方について知るのは良いかもしれません。

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