石川遼とイチローの共通点は「明確な目標を書き出す」ことだった

石川遼自伝 僕の歩いてきた道
『石川遼自伝 僕の歩いてきた道』
石川 遼
講談社
1,080円(税込)
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 本書『石川遼自伝 僕の歩いてきた道』は、昨年20歳を迎えた石川遼選手が、幼少期から今までの人生を綴った初の「自伝」。

 「ハニカミ王子」の愛称で話題となり、高校1年生で史上最年少としてプロに転向し、1年目で獲得賞金1億円を突破。高校2年生でマスターズ出場を果たすなど、華々しい経歴の石川選手。しかし、最初から特別な存在ではなかったそうです。

 父である勝美さんは「小さな頃の遼は、父親である私も情けなくなるぐらいに不器用な子どもでした」と語っています。プラモデルを買い与えても最後まで作り上げることができないし、幼稚園の鉄棒も同じ年でできなかったのは石川選手だけだったとか。

 しかし、好奇心旺盛だった石川選手は、4歳の頃に庭で勝美さんがゴルフの素振りをする姿を見るうちに、次第に勝美さんの打ちっぱなしの練習にもついていくようになり、ゴルフに興味を持ち始めます。

 小学校4年生だったある日、「マスターズで優勝したい」と勝美さんに夢を打ち明け、その日から勝美さんは好きだったゴルフや競馬、釣りなどの趣味を一切やめて、すべてを石川選手のゴルフの練習に向けて過ごすようになります。ちなみに下記は小学校の卒業文集に石川選手が書いた作文。

二年後......中学二年生、日本アマチュア選手権出場。
三年後......中学三年生、日本アマチュア(日本アマ)選手権ベストエイト。
四年後......高校一年生、日本アマ優勝、プロのトーナメントでも勝つ。
六年後......高校三年生、日本で一番大きいトーナメント、日本オープンで優勝。
八年後......二十歳、アメリカに行って世界一大きいトーナメント、マスターズ優勝。

 まるでプロ野球のイチロー選手が小学校6年生のときに書いた作文と同じように、明確な目標が書き出されています。さらに驚くことに、その目標のほとんどが実現されています。これはイチロー選手にも言えること。

 そんな石川選手の座右の銘は「急がば回るな」。小学校時代から実践してきたゴルフに対する姿勢であり、オフィシャルブログのタイトルにもなっています。

 「童話の『ウサギとカメ』は、足の速いウサギが居眠りしてしまって、結果的に足の遅いカメが先に到着する物語だ。しかしウサギが眠らずにひた走れば、その差は歴然としているだろう。僕のゴルフ人生を『ウサギとカメ』になぞらえるなら、眠らないウサギでありたいと思った」(石川選手)

 去年の10月、初めて恋人の存在を公にして、婚約した石川選手。お相手はお付き合いしていた中学校の同級生。まさに「急がば回るな」を貫き通し、私生活も最速のスピードで最短距離を駆け抜けているようです。もしかすると、将来、ゴルフで我が子と対決!......なんて日が来るのも夢ではないかもしれませんね。

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