フェイスブック 大失敗のサービス
- 『フェイスブックをつくったザッカーバーグの仕事術』
- 桑原 晃弥
- 幻冬舎
- 1,028円(税込)
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今や世界中にユーザーをかかえる巨大SNS、フェイスブック。2004年にマーク・ザッカーバーグがサービスを開始し、その後わずか8年で利用者を9億人にまで伸ばしました。そんな順風満帆にみえるフェイスブックですが、かつては多くの失敗もあったようです。
『フェイスブックをつくったザッカーバーグの仕事術』によると、今やフェイスブックの大きな魅力のひとつである「ニュースフィード」は、ユーザーの猛烈な抗議で修正を余儀なくされたといいます。さらに友人が何を買ったかが自動的にわかる「ビーコン」に至っては、完全撤退となる大失敗でした。
こうしたミスの背景には、「素早すぎる」ザッカーバーグの判断がありました。拙速という言葉があるように、速さ故に失敗を招く。しかし、それでもザッカーバーグはフェイスブックで一番大事にしていることを「素早く動くことだ(Move fast)」と話します。
これはIT業界やコンピュータという他を圧するスピード感のある業界にいるせいもありますが、著者の桑原氏はこのことを「素早さは失敗を招くが、失敗は取り返しがつく。取り返しがつかないのは、遅れなのだ」と説明。事実、ザッカーバーグも素早く動いた結果のミスは許容しているといいます。
ザッカーバーグやマイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ、アップルのスティーブ・ジョブズ、世界的に有名な経営者たちに共通しているのが、その多くが若いうちから頭角を現しているということ。ザッカーバーグは、ハーバード大学に在籍中の19歳のうちにフェイスブックを開発しています。さすがはハーバード、と思ってしまいますが、最近は日本の大学生も負けてはいません。
7月22日に行われた学生による広告コンクール「アドフェス2012」では、大学生が企業顔負けの斬新なアイディアを堂々とプレゼン。課題提供クライアントとして参加したGoogleの社員も賞賛の言葉を述べるほどのクオリティでした。
コンクールは、「Googleの提供するサービス、Google+の利用者を増やす」という課題に沿って、チームが広告案を提示するというもので、Googleの審査を経て優勝チームを決定します。今回の優勝は法政大学のチームで、Google+をサークル単位で使用することで活性化を図るというプラン。新入生勧誘シーズンに使うことで、サークル側・新入生側互いに利便性を感じてもらったり、イメージキャラクターを使った奇抜なイベントを仕掛けることで認知の向上を図るなど、多方向へ向けた展開するものになっていました。
審査を担当したGoogleの秋山有子さんも、「ストリームにどう人を巻き込んでいけばいいか、綿密に考えられたプランだった」と高く評価。
このほかにも、一橋大学の、芸術学生を対象にアートの発表の場を提供するプランや、日本大学の恋愛のテクニックや情報共有を行うものなど、アイディアの柔軟性と奇抜さは学生ならではのものが目を引きました。