戦後最年少での直木賞受賞となるか、23歳・朝井リョウの『もういちど生まれる』

もういちど生まれる
『もういちど生まれる』
朝井 リョウ
幻冬舎
1,512円(税込)
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 第147回直木賞候補作が発表され、戦後最年少記録になるかと、23歳の朝井リョウの受賞に注目が集まっています。

 小説すばる新人賞や高校生が選ぶ天竜文学賞を受賞している朝井氏。今回の候補作『もういちど生まれる』では、5人の若者が、「最初の一歩を踏み出す瞬間」を丁寧に描いています。

 表題作となっている『もういちど生まれる』は、美人で有能な双子の姉に対してコンプレックスをもつ浪人生の妹の物語。

 「海を分母に、空を分子にしたら、1を超えるだろうか」、何度も出てくる分母と分子の関係。そもそも、あるものを分母と分子に置いて「1」になるものなんてこの世にあるのでしょうか。空と海のほか、笑顔と涙、夢と挫折......。

 「双子なのに、椿と梢を分母と分子にしても1にならないわね」

 とは、母のつぶやき。しかし、この言葉だけでは、どっちが分母でどっちが分子かはわかりません。

 ただ、姉の椿は、高一の頃から読者モデルをしており、三年生時には生徒会書記を務め、推薦で第一志望の大学に合格。一方の梢は、少し目が小さくて、少し鼻が低くて、少しくちびるが薄くて、少し太っている......。浪人生の梢は椿にコンプレックスを抱いても仕方ありません。

 そんな妹・梢が踏み出した大きな一歩。この思い切った行動を機に、読者のページをめくるスピードもアップすることでしょう。

 いよいよ明日にせまった第147回直木賞受賞作の発表。同書を読んだ人は、最年少記録に期待を寄せているのではないでしょうか。発表まで、あともう少しです。

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